熱を産生する能力、放出する能力には、遺伝的な差があります。
同じ生活をしていても冷えやすい人、冷えにくい人がいるのです。
症状も人それぞれ違うでしょう。
たとえば更年期の女性がのぼせて発汗するのも冷えの一種です。
体の上のほうに上がった気が下りてこないから顔が火照るのであり、下半身は逆に冷えています。
そういう人たちは下半身を中心に温め、交感神経の緊張をとらなくてはいけません。
暑いから、汗が出るからといって、体を冷やしてはいけないのです。
暑がりだから、と安心することもできません。
外の環境に対応できないから、暑さに耐えられないのです。
暑がりの人は、当然、寒さにも耐えられないでしょう。
自分でも気づかないうちに冷えている可能性があるのです。
ひどい人になると、汗をかくことすらできません。
汗をかかない人には二通りあり、体力がものすごく充実していて汗が出ない人と、汗さえつくれない人がいるのです。
自分は暑がりだけれど汗はかかない、という人は注意してください。
体から熱を放出する力が極端に低下しているのかもしれません。
暑がりだけど汗をかけないという人はとにかく体を温め、まずは汗をかける体をつくることが大切です。
きちんと汗をかけるようになってから、少しずつ体温調節の機能を高めていく必要があるのです。
自覚症状がまったくない人もいるでしょう。
自覚症状がない場合は、自分が本当に冷えていないかどうか、チェックすることから始まります。
朝、布団の中で目覚めたとき、冷えていなければ体のどの部分もほとんど同じ温度のはずです。
まずは腋の下に手を入れ、そこの温かさを感じてみてください。
その後、体のいろいろな部分をさわってみましょう。
腋の下よりも冷たい部分があれば、その場所は冷えています。
若いころと比べて温かい食べ物や飲み物が欲しくなった、という人も冷えている可能性が高いでしょう。
体を温めて「気持ちがいい」と感じる人も、自分が気づかないうちに体が熱を欲しているのです。
そうした症状がまったくなくても、平熱が35度台の人は自分が冷えていると認識したほうがいいと思います。
このように、冷えの症状は人それぞれ、熱を産生する力、放出する力も人によって異なります。
でも自分の体質や症状に合わせて生活習慣を考えたり、自分の体質を改善したりすることで、冷えは必ず自力で治せます。