健康とは、ホメオダイナミクスを維持すること            川嶋 朗


細胞は常に生まれ変わり、分泌物も常に変化しています。

あるものは壊され、あるものは新しくつくられます。

見た目はまったく同じでも、十分前の体と十分後の体は絶対に違うのです。

それどころか、一秒一秒刻々と変化しています。

人間の体はとてもダイナミック、といえるでしょう。

 

常に様々な生体反応や免疫反応を起こしながら、自分の体を一定の状態に保つシステムを、ホメオダイナミクスと呼びます。

本来、人間は誰でもこのすばらしいシステムをもっています。

ホメオダイナミクスを維持することこそ健康と呼ぶのにふさわしいのではないでしょうか。

 

ホメオダイナミクスを維持することが健康なら、病気とはホメオダイナミクスを維持できない状態にほかなりません。

そして、ホメオダイナミクスの維持を阻害する要因こそ病気の原因ではないか、私はそう思っています。

 

過剰な紫外線やダイオキシン、遺伝子を大量に破壊するウィルス、薬など、ホメオダイナミクスを阻害する要因はたくさん存在しています。

これらをすべて排除することは不可能ですが、自己治癒力を高め、これらの要因に対抗するためのヒントを1つ、ご紹介したいと思います。

 

それは、適度なストレスをかけること。

適度なストレスは、自己治癒力を維持するために必要不可欠です。

ただし、過度のストレスは心身にとってよくないのはご存じのとおりです。

 

ストレスを過剰に受けると交感神経が優位になり、アドレナリンやノルアドレナリンが出ます。

逆にリラックスしているときには副交感神経が優位になり、アセチルコリンが出ます。

これら両方が強調しあって、体の機能は保たれています。

どちらか片方だけがいいのではありません。

 

ストレスが多いなと感じている人は副交感神経を優位にしてあげるべく、意識的にリラックスする、あるいは生活習慣を変えるというのがよいでしょう。

 

ただし、起きている間ずっと副交感神経優位だと、ぼーっとして眠くてしようがありません。

大切なのは、バランスです。

 



健康と長寿                           ‎吉野 一道


人間の歴史は飢餓との戦いでもありました。そのためか、飢餓に対応できるシステムはある程度備わっています。

しかし、飽食に対応できるシステムはほとんど備わっていません。

日本で一日三食になったのは江戸時代の元禄の頃から。飽食は先進国の出来事であり、最近の問題だからです。

 

こんな話があります。

ナチスに占領された当時のオランダでは、食糧事情が悪くなったためか、成人病患者がいなくなった。

餓死者が出るほど酷い食糧難の水準でもなかったため、かえって住民の健康水準が向上し、平均寿命が延びてしまった。

 

健康と長寿のためには老化を遅らせればよいのでしょうが、そのための科学的な方法として、以下の3つの方法があげられています。

①一日の摂取カロリーを60%に減らす。

飽食を改めることによって、サーチュインという長寿遺伝子の活動にスイッチが入ります。

 

②過酷な運動は膝や関節を痛めます。

傷つくと再生は困難です。

心臓の拍動は一生の間に20億回と言われています。

敢えて無理して激しい運動をして心拍数を上げれば、心臓の寿命が短くなりかねません。そこで、「運動は適度に」が大切になります。

 

③夜の10時から午前2時までの間にぐっすり眠ると「若返りホルモン」と呼ばれる「成長ホルモン」が脳から出てくるため、体が若返ります。

更に、朝日を浴びて起きれば体内時計が整えられ、ホルモン分泌も高まります。

 

結果、以下の効果を期待出来ます。

・細胞の再生が盛んになり、免疫力が向上する。

・肌のハリが保たれる。

・男性ホルモンが合成され、精力が増進する。

・エストロゲンの生成が促進され、記憶力が向上する。

・筋肉が増強されるので、サルコペニア予防になる。

 

成長ホルモンは年齢とともに減少します。ストレスや過労や寝不足によって分泌量も減少します。

感染症やがん発生率の上昇は成長ホルモン不足の結果であるとも言われています。

そうであれば、早起きが3文の得なら、早寝も相当な得になりそうです。

 



健康と病                            Sarah


病は、一言で「悪しき食物の摂取による」と言ってもよいほどです。西洋医学が慢性病を治せないのは、この原因中の原因である「悪しき食物摂取」を改善しないからに尽きるのです。

 

白砂糖たっぷり、果物たっぷり、さらに酸化した油脂たっぷりのスナック菓子づけ、栄養物だと言って、卵と肉づけでは、難病出現間違いなしの超酸性最悪食です。

こういった最悪食品をとり続けた結果、肝臓ガンが出現したり、腎臓癌が出現したりするということは、「食」が人間の健康を左右する大いなる深い因子であることを物語るものです。

 

腸内をきれいに保つ

 

健康維持には、良い食物を摂取することが大前提となります。悪いもの(腸内を腐敗させるもの)を口から入れていては、根本的に病気を治すことは難しくなります。良い食物の摂取法の基本は、腸内腐敗を起こす物質を取らないこと、そして腸内を人間にとって有利な善玉菌(ビフィズス菌など)が、優位な状態になるように食物を摂取します。腸内をきれいに保つには、やはり酵素の摂取が良いと思います。酵素にも、最近では医療機関向けの製品があります。父が闘病中には医療機関向け製品がなかったのですが、現在は医療機関向けの酵素に切り替えています。

 

腸の善玉菌と悪玉菌

 

腸内には、無数の細菌が存在し、さまざまな働きをしています。その数は、100種・100兆個とも言われ、大腸内容の1グラムあたりで数千億というものです。このような細菌は、大きく二つのタイプに分かれます。ひとつは人間に役立つ「善玉菌」、もうひとつは、害をもたらす「悪玉菌」です。一般には、酸素を好む好気性菌に善玉が多く、酸素を好まない嫌気性菌には悪玉が多いのですが、まれに嫌気性でも善玉として働く場合があるので、「善玉・悪玉」という呼び方をしています。善玉菌の働きは、消化吸収の促進、病気感染を防ぐ、食べ物を非常に細かくして違った性格のものにまで乳び化(粥状になること)する(元素転換)、腸内の細菌に対する抗体を産生して免疫を高める、などといったものです。

 

一方悪玉菌は、すぐ悪い反応が起こるということもないのですが、毒素や発ガン物質(アンモニア、アミン、フェノール、硫化水素、ヒスタミン、インドール、スカトールほか)を産生し、免疫力を低下させ、血を汚し、全身の酸化を速め、老化を推進してしまいます。しかし、悪玉菌だからといって、一概にあってはならないということではありません。問題はバランスなのです。一般に、善玉が大変多く、悪玉が少ないことが理想です。つまり「善玉菌優位こそ健康のもと」ということになります。

 

若い頃はスマートな人でも、中年になると見事に太ってきます。これは中年になってから好んで高コレステロールのものを食べるようになったからではなく、今まで通りの食生活をしているのに太ってしまうだけに厄介な代物なのです。コレステロールは肥満の敵、生活習慣病の元凶ともいわれますが、実はこのコレステロール、私たちの体の中では性ホルモンを作る元になっている大切な物質なのです。子供から大人になっていく-成熟していく-過程において、コレステロールは男性ホルモンや女性ホルモンを作るという大切な役割を担っています。したがって、成長期にはコレステロールが必要不可欠なのです。

 

ところが年齢を重ねるにつれて、そして40代から50代になる頃には、私たちの体は「もう、必要がないだろう」と判断して、性ホルモンを作らなくなります。コレステロールは若い頃と同じように摂っているのに性ホルモンの分泌が減ってくるため、両者のバランスが崩れ、それが中年太り(肥満)を招いてしまうのです。ある程度の年齢になったら、できる限りコレステロールの元になるような動物性脂肪は控えるようにすることです。そうすることが生活習慣病の予防にもなり、老化を遅らせることにもつながります。

 

コレステロールと性ホルモンには大きな関係があります。そこで注意しなければならないのは家庭内での食生活です。子供と大人が同居している家庭で同じ食事をすれば、必ずどちらかに弊害が出ます。子供たちはコレステロールを摂ることによって大人になっていきますが、それと同じものを大人が食べれば肥満の道を突き進むことになります。逆にコレステロールの少ない食事が中心になると大人はスマートな体形を維持することができますが子供は成長不良になってしまいます。食事は年齢とともに変えることが重要なのです。

 

免疫力が下がると老化を早める

 

昔から「腹八分」といわれるように、食事は満腹になる前に箸を置くくらいが理想的です。腹八分では我慢しきれず、いつも満腹になるまで食べる人は明らかに食ペすぎです。そして食べすぎは老化を早め、寿命を縮めます。これは動物実験でも証明されています。

 

ネズミを二つのグループに分けて、一方は好きなだけ餌を食べさせ、もう一方は餌の量を制限する。両者の生存率を比べると、好きなだけ餌を食べたネズミは短命に終わりました。このグループのネズミに共通していたのは、DNAの酸化産物が若いときから蓄積していたことです。これは、たくさん餌を食べた分だけ食べ物を燃やす酸素が多く消費され、活性酸素の量が増えるからだと考えられます。

 

また、過食は肥満の原因になり、肥満は老化の原因になります。運動不足と過食は肥満を招き、肥満は高血圧、タバコ、ストレスなどとともに動脈硬化の呼び水になります。動脈硬化は脳出血、脳梗塞、心筋梗塞の導火線になります。50歳以上の高齢者の最低必要カロリーは、男性が1200~1300キロカロリー、女性は1000~1100キロカロリーといわれています(健康・栄養庸報研究会編『第六次改定 日本人の栄養所要量(第一出版、1999)』より)。最低必要カロリーを維持することはもちろん大切ですが、それ以上に気をつけなければいけないのは過食による必要以上のカロリー摂取なのです。

 

私たちの免疫機能はさまざまな要因により低下します。加齢による免疫機能の低下、そしてストレス、さらに食生活が大きな要因といわれています。私たちの体内では毎日3000~4000個ものがん細胞が作られています。しかし、がん細胞が作られたからといって、すべての人間ががんになるわけではありません。私たちの体には、細菌などの異物が進入すると、それを無害化したり排除する防御システムが備わっています。これを「免疫機構」といいます。免疫機構は「自己」と「非自己」を区別して、異物だけを攻撃します。免疫機構の中心的な役割を果たしているのはT細胞という細胞です。T細胞のもとは骨髄で作られ、骨髄から血管を通って胸腺という器官にやってきます。T細胞は胸腺で厳しい教育を受けて免疫機構の働きを担う細胞になります。胸腺の老化は早い時期から始まり、20歳台で半分が脂肪に置き換わってしまいます。さらに年をとって中高年になると胸腺はほとんどなくなり、脂肪だけになってしまいます。

 

このような形で私たちの免疫機能は年齢を重ねてゆくにつれて衰えてきます。さらに活性酸素や食品添加物、大気汚染も偏った食生活、体に負担をかける生活習慣等々、日常生活においても免疫機能を低下させる原因には事欠かない有様です。

 

誰にも加齢にストップをかけることはできません。まずは日常生活を見直して、がんの要因を極力排除して、免疫機能の低下を遅らせることが重要です。加齢は避けられないことですが、最近はストレスが免疫力を低下させる一番の要因だという声が多く聞かれるようになってきました。がんの治療をして退院する。その後、再発するかどうかを一番大きく左右するのはストレスだという説です。中でも最大のストレスは親族-特に配偶者-との死別で、治療後に配偶者が亡くなると、必ず再発するということです。二番目が離婚によるストレス、三番目が経済的問題からくるストレスという順になっています。UCLA/DREW医科大学のマンドウ・ゴーナム博士が長年の臨床経験から「治療後も治療前と同じ生活リズムを送り、同じ仕事量をこなしていると、必ず再発する」と、がん患者に警告を発しています。さらに博士は、配偶者との死別、会社の倒産、大地震(ロサンゼルス)で財産を失くした人たちに再発が多く見られたと報告しています。

 

日本人の死因の第1位はがん、第2位は心疾患、第3位は脳血管疾患となっており、相変わらずがんが死因のトップにランクされています。人間の体は約60兆個の細胞でできています。細胞の中心部には核があり、核の中には遺伝子が入っています。外部や内部から何らかの刺激で遺伝子に異常が起こると遺伝子は誤った情報によってタンパク質を作り始めます。そして正常細胞は突然変異を起こしてがん細胞に変化します。

遺伝子に異常を起こさせる因子や、がん細胞の分裂を促進してがん細胞を増殖させる因子となる環境因子や発がん物質には次のようなものがあります。遺伝子を傷つけ、細胞をがん化させるものには、活性酸素、放射線、紫外線、化学物質、ウイルスなどがあります。がん化を進行させる発がん物質には、タバコ、カビ、タンパク質の焼け焦げ、食品添加物などがあります。

 

したがって私たちががんにならないためには、細胞をがん化させ、がん化を進行させる要因を排除しなければなりません。発がんを抑え、がんに対抗するためには、体の免疫力を強化したり、活性酸素を中和したり、発がん物質を体外に排除したり、がん化した細胞を修復する働きを持つ発がん抑制物質が必要になります。

 

厚生白書によると、寝たきりの原因は、脳血管疾患・心疾患=42.6%、骨粗しょう症・骨折=13.2%、認知症=7.0%、リウマチ・関節痛・神経痛=7.6%、その他=29.6%となっています。

 

脳血管疾患・心疾患は動脈硬化に由来するもので、これだけで寝たきりの原因の40%強を占めています。タバコ、ストレス、運動不足、過食は動脈硬化の原因になり、軌脈硬化は脳出血や脳梗塞、心筋梗塞の原因になりますが、いずれも生活習慣に問題を抱えた結果の深刻な事態だということがわかります。生活習慣を改めることで脳血管疾患・心疾患を予防することができます。そうすれば、寝たきりの40%はいなくなるのです。

 

認知症にしても、過食を避け、適度な運動をしていれば、脳の老化を遅らせ、呆けを防ぐことができます。

 

リウマチは免疫異常によって起こる自己免疫疾患です。免疫系は自己と非自己を認識して、外部から進入した有害物質に攻撃を仕掛けるようになっています。ところが、何らかの理由で自分の体の一部を非自己と認識してしまい、これを攻撃してしまうことがあります。

これを自己免疫疾患といい、その仕組みはアレルギーと良く似ています。自己免疫疾患とアレルギーとの違いは、アレルギーは外から進入した抗原に反応するのに対して、自己免疫疾患は自分の体の一部を抗原とみなして攻撃しまうことです。加齢とともに免疫力は低下します。それは単純に免疫力が低下してリンパ球の働きが弱くなるということ以外に、炎症性の細胞が増えてくることもあります。その場合には免疫異常が起こります。免疫異常がリウマチを発生させる原因なら、その原因を除去する-免疫系を正常にする-ことがリウマチの発生を予防する手段になります。免疫系を正常にするためには免疫力を強化しなければなりません。

 

脳神経疾患・心疾患と認知症とリウマチ・関節痛・神経痛、この三つを合わせると寝たきりの原因全体の60%弱になります。この60%弱に相当する人たちの大半は、日頃の生活を見直し、重大疾患の原因を取り除くことで生活習慣病を回避することができるのです。ひいてはそれが寝たきりにならないことにもつながるのです。

 

老化と生活習慣病

 

日本人の平均寿命は世界一ですが、高齢化社会で大きな問題になるのが、がん、脳卒中、心臓病などの生活習慣病です。今後はさらに高齢化に拍車がかかることから、生活習慣病の増加と痴呆症や寝たきり老人の増加は避けられないところです。それでも、こうした生活習慣病の原因がわかり、それを排除することができれば、歳をとっても健康な生活を送ることはできます。それには老化のメカニズムを理解して、生活の中で老化を予防し、老化を遅らせることを考えなければなりません。老化を促進する原因には高血圧、糖尿病、肥満、ストレス、活性酸素などがあり、生活習慣病の引き金になります。

 

日本人の平均寿命は世界一ですが、長生きをしている人たちの中には介護が必要な人、寝たきりの人、痴呆の人も数多く含まれています。これは肉体的もしくは精神的に健康とはいえません。日常生活で他人の手を煩わせることなく、しかも意識がしっかりした状態で日常生活を送っているのが健康的な生活であり、その状態で何年生きられるかが大切なのです。こうしたことから最近重視されてきたのが「健康寿命」です。健康寿命というのはWHO(世界保健機構)が提唱した指標で、病気や痴呆、衰弱などで要介護状態になった期間を平均寿命から差し引いた寿命のことをいいます。

 

健康寿命を伸ばすには今の日本にはあまりにも悪条件が多過ぎます。日本がもがき苦しんでいる間に、アメリカでは健康寿命を伸ばすためにダイナミックな改革を行い、徐々にその成果が現われつつあります。生活習慣病に無関心だった一昔前のアメリカでは、誰もがタバコをプカブカ吸って、野菜や魚はあまり食べず、コレステロール値の高い肉類や乳製品をお腹に詰め込み、アイスクリームやジュースなどの糖分が多く含まれた食べ物を必要以上に食べて飲んで、明らかに過食にもかかわらず運動はしないという荒っぽい生活をしていました。これでは生活習慣病になるための身体作りをしているようなものです。当然のようにアメリカ人の健康寿命は短く、深刻な社会問題になりました。

 

そこでアメリカ社会は生活習慣を見直し、生活習慣病の追放に向けてさまざまな手を打ってきました。その典型的な1例が「禁煙、ローコレステロール、ローシュガー」の徹底です。アメリカ人は動物性脂肪を減らし、糖分を減らす一方で、1日5種類以上の野菜と果物を摂るようになりました。肥満体のビジネスマンは「自己管理ができないダメ人間」と見なされ、管理職への道が閉ざされました。タパコのコマーシャルはテレビから姿を消しました。従来の生活習慣を改めないで、ビジネスマン失格の烙印を押されるほうを選ぶのか?それとも体のためになる生活習慣に切り替えるほうを選ぶのか?それはもちろん本人の自由ですが、このキャンペーンが始まってから、それまで生魚など食べたことのないアメリカ人が好んでお鮨を口にするようになったのは紛れも無い事実です。「ローコレステロール、ローシュガー」キャンペーンの中心として動いたのは、それによって一番損害をこうむるアメリカの食品メーカーでした。この勇気ある行動により、アメリカ人の健康寿命は着実に伸びつつあります。

 

その昔、日本人が好んで使った言葉の一つに「アメリカが風邪を引くと、10年後に日本が風邪を引く」というものがありました。戦争に負けた日本は、豊かな生活を送るアメリカに追いつくために身を粉にして働き、短期間で経済大国の仲間入りをしました。

 

一方、ベトナム戦争で疲弊したアメリカは経済面を日本に任せて、自分たちは医療を中心とした福祉に巨額の国家予算をつぎ込むようになりました。その過程でがんの研究が進み、同時に生活習慣病に対する見直しが始まっていました。アメリカが健康を直視していたとき、日本はバブル経済に浮かれ、世界中の食べ物を見境もなく胃袋に詰め込んでいました。中心となったのは動物性脂肪でした。アメリカが生活習慣をダイナミックに変換したのに対し、日本では相変わらず肉食中心の食生活が主流を占め、さらに過食、偏食、ストレス、運動不足が加わり、生活習慣病は一向に減る気配を見せません。このままでは日本人の老化は早まるばかりで、生活習慣病の低年齢化は避けられそうもありません。

 

情緒豊かな魅力的老人

 

誰でも一年ごとに年輪を重ねていきますが、年輪の重ね方によって人は魅力的な老人になることができます。魅力的な老人というのは社会に溶け込み、社会の中で愛され、情緒が豊かで、充実した生活を送っているものです。こういうタイプの老人に共通しているのは、常に適度な緊張感を持っていることです。緊張感を持っているとストレスに強くなり、少々のことではくよくよしなくなります。常に緊張感をもっていると副腎皮質が強化されて、副腎皮質からストレスに対する防衛ホルモン (抗ストレスホルモン) が分泌されるからです。会社を定年退職した途端に虚脱感、脱力感に支配され、そのまま気持ちの切り替えができないままズルズルと目的のない生活を続けていると、それだけ老け込むスピードに拍車がかかり、社会から置いてきぼりを食ってしまいます。適度な緊張感を保つと同時に、情緒豊かな心を持つことも、老化を遅らせる重要な要素になります。

 

脳細胞は加齢とともに小さくなっていきます。ところが、知性的で愛情あふれる人間的な脳の働きは、50歳、60歳、70歳になっても発達するのです。魅力的な人との出会い、魅力的な芸術との出会い、魅力的な本との出会い-さまざまな出会いを通して脳細胞を使っているうちに、新しい回路が作られ、脳の働きは活性化します。よく「歳をとると涙もろくなる」と言われます。実際に、若い頃なら泣かなかったことでも、中高年になると簡単に泣いてしまうことがあります。これは老化のせいではなく、年輪を重ねたことによって情緒が高まったからだと思われます。ある程度の年齢になってきたら情緒の部分を鍛えること、これが魅力的な老人になる第一歩です。

 

ストレスとは内外からの刺激(ストレッサー)から引き起こされる体の反応で、内外の環境との摩擦によって生じるものです。ストレッサーは外的ストレッサーと内的ストレッサーに分けられます。外的ストレッサーには、悪天候や寒暖の変化、騒音、地震や台風などの自然災害から受ける物理的ストレスと、社会環境、経済状態、人間関係などから受ける社会的ストレスがあります。内的ストレッサーには、不安、心配、悩み、妬み、怒り、憎しみ、緊張などから受ける心理的ストレス・情緒的ストレスと、病気、健康障害、疲労、不眠などの身体的ストレス・生理的ストレスがあります。ストレスが加わると、私たちの体はストレスに対して防御体制を整え、抵抗しますが、刺激が長期間続くと体の抵抗力がなくなり、心身の機能低下を生じてしまいます。これが、がんや生活習慣病の大きな原因の一つになっているのです。ストレスの度合いが高くなると副腎皮質ホルモン(坑ストレスホルモン)が過剰に分泌されます。その結果、副腎皮質は萎縮して、ホルモンの分泌が悪くなります。副腎皮質ホルモンの出が悪くなると、免疫機能は衰え、さまざまな病気にかかりやすくなります。ストレスを感じない人間などいませんが、ストレスをどう受け止めるかによって生き方は大きく違ってきます。完璧を目指さず、物事を前向きにとらえ、過去にこだわらず、適度な休息をとって心に余裕を持つ、これがストレスとの上手な付き合い方です。

 

ストレスがたまったときには十分な睡眠をとることが重要です。副腎皮質ホルモンは朝方に最も多く分泌され、昼から夕方にかけて次第に少なくなり、深夜には最低になります。この生体リズムからもわかるように、深夜作業や夜遊びは自分自身でストレスに弱い体をつくっていることになります。

 

活性酸素は、がん、動脈硬化、糖尿病、心筋梗塞など様々な病気との関連が指摘されていて、緒悪の根源のようにいわれています。活性酸素は普通の酸素よりも活性化された状態の酸素と、その関連物質のことをいい、スーパーオキサイド、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素の4種類があります。空気中の酸素は酸素原子(O)が2個結合した「O2」という、化学反応が起こりにくい安定した状態で存在しています。つまり、「O2」は化学的に不活性なのです。この安定した状態の分子が電子を1個受け取ると、電子のペアとなる相手を探し求めるために不安定な状態になります。つまり、不活性な状態から活性化された状態になるのです。これが活性酸素と呼ばれるもので、スーパーオキサイドは代表的な活性酸素として知られています。

 

私たちは食物から得た栄養物を、呼吸で得た酸素によって酸化することでエネルギーを生産しています。酸化と還元はどちらも酸素の化学反応ですが、酸化とは酸素と結合するか、電子を失う化学反応のことをいい、還元とは水素と結合するか、逆に電子を受け取る化学反応のことをいいます。エネルギーが生産される過程で酸素の分子は4個の電子を受け取り、水に還元されます。大部分の酸素はこうして水になりますが、この過程で電子を1個だけ受け取り、中途半端に還元されたものが漏れ出すことがあります。これが活性酸素スーパーオキサイドになるのです。

 

スーパーオキサイドがさらに電子を1個受け取ると、過酸化水素になります。過酸化水素は消毒薬のオキシドールとして身近な物質で、それほど強い毒性はありません。ただ、スーパーオキサイドよりも安定しているためその分寿命が長く、細胞膜を通過して広範囲に毒性を及ばします。

 

この過酸化水素はスーパーオキサイドや金属イオンと反応してヒドロキシラジカルを生成します。ヒドロキシラジカルは最も反応性の強い活性酸素です。活性酸素は呼吸以外にも紫外線、農薬、抗がん剤、タバコの煙などさまざまな原因によって体内で発生します。紫外線が皮膚に当たると活性酸素が発生しますが、これは皮膚の老化を早めます。活性酸素は体を傷つける毒作用を持っていますが、プレオマイシンやアドレアマイシンなどの抗がん剤はこれを利用したものです。プレオマイシンやアドレアマイシンはこうした体の中で活性酸素を発生させます。この活性酸素の力でがん細胞を殺してしまうのです。しかし、抗がん剤はがん細胞だけでなく、同時に正常細胞にも傷害を与えてしまうため、それが強い副作用となって現れるのです。また、体内に侵入した細菌を白血球が殺すときも活性酸素が活躍します。このように活性酸素は一概に緒悪の根源といえない面を持っているのです。

 

ところが、白血球が細菌を殺すために作り出された活性酸素は往々にして周辺組織に傷害を与えてしまうのです。これが炎症の原因になるといわれており、肝炎や腎炎、アトビー性皮膚炎など「炎」につく病気には少なからず活性酸素が関係しているといわれています。

 

活性酸素には体を構成している脂質、タンパク質、核酸を攻撃して傷害するだけの破壊力があり、これが老化の元になっています。タンパク質は体全体の15~20%を占めていて、その種類は3万から10万種類といわれています。タンパク質には多様な機能があり、その多様な機能によって複雑な生命現象が支えられています。タンパク質は20種類のアミノ酸がさまざまに配列され、結合してできています。これが活性酸素によって傷害されると、いくつかのアミノ酸が酸化されてカルポニル化合物という物質に変化します。このカルポニル化合物は老化とともに脳や水晶体で増加します。活性酸素は脂質にも傷害を与えます。脂質は細胞膜の主成分ですが、活性酸素の攻撃を受けると脂質が酸化して、過酸化脂質が生まれます。それによって細胞膜の性質が変わったり、細胞の中身が漏れ出したりします。また、過酸化脂質は強い酸化力を持っているため、タンパク質など体のほかの成分を酸化して障害を与えるのです。酸素を利用する生物には活性酸素から身を守る仕組みが備わっています。ようするに体内で発生した活性酸素を消滅させる機構で、担当するのは酵素と抗酸化物質です。

 

酵素は、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、グルタチオンベルオキシダーゼの3種類。SODはスーパーオキサイド「SO」を分解して過酸化水素と酸素に変える働きを持っており、活性酸素を消滅させる主役的な存在です。SODは必要に応じて作られますが、加齢とともに産生能が低下するため、20歳を過ぎた頃から活性酸素の暴走を止めることができなくなります。食物における抗酸化物質の代表には、ビタミンCとビタミンEがあります。ビタミンCは別名をアスコルピン酸といい、水溶性ビタミンの一種です。ビタミンEは別名をトコフエロールといい、脂溶性ビタミンの一種です。

 

昭和40年頃はまだ「食物繊維」という言葉はなく、チラホラと「体の中を通過していく食物成分の中に、意味のあるものがあるようだ」という話が出始めた程度でした。それは一体何なのか?と言ったときに、大きなヒントになったのは「イギリスの海軍士官には糖尿病(を患っている者)が多い。マサイ族には糖尿病がいない」ということでした。両者の違いを調べると、排便の絶対量に大きな違いがありました。イギリス人は少ししか便が出ないのに対して、マサイ族は大量の便を出していました。その差は一体何だろうということから、食物繊維の働きが明らかにされたのです。日本人は食物繊維の働きが明らかになるずっと以前からごぽうを食べていました。それと同じような食べ物にコンニャクがあります。その昔、コンニャクは「砂下ろし」と言われていました。子供の頃は「砂下ろし」が一体どういう意味なのかわからず、大人に聞いても曖昧な答えが返ってくるだけでした。今考えると、多分あれはコレステロールに由来する胆石や尿路結石を流すことだったと思います。先人たちはそういう現象を知っていて、栄養学的にはまったく役に立たないという理由で無視され続けてきたコンニャクやごぼうを好んで食べていたのでしょう。

 

 

人間は腸をベースにして栄養を全身に吸収して生きています。樹木は土壌をベースにして栄養を吸収し、生命活動を続けているのです。腸は地面と同じだということです。

ですから、この土壌や腸の質が、植物や動物や人間が健康に生きられるか否かを大きく左右する因子となるのです。

 

そのくらい大きな因子ですから、食物の摂取法は、健康を維持するうえで重要と言うより絶対欠かせないものなのです。もちろん病気になってそれを治そうというときも、病気が治った後でも、健康を維持するするうえでも、予防のうえでも、とにかく食物の摂取の仕方は、非常に大切だと言うことです。

 

腸を活性化・正常化させる事で、栄養分の吸収も十分に出来るようになり、結果癌と闘うために必要な体力もついてきます。腸内腐敗も少なくなり、新たな発癌因子が減少する事にもなります。免疫強化物質「Oryzalose」などを飲むにしても、腸から吸収されないと免疫活性が起きない訳ですから、腸の働きひとつで大きく結果が変わってくると考えられます。まず「癌患者=腸が弱っている・正常ではない」と疑って、とにかく腸の働きを活発化・正常化させるように努力してみて下さい。

 

良い食物と悪い食物

 

たばこは絶対にダメ。

と言っている本人の父は全く言う事を聞かず、ずっとピースを吸い続けていましたが...皆さんは絶対に真似はしないで下さい。私の父のように「 A.M.D(Arabinoxylane for Medical Doctors)を飲んでいればタバコを吸っても大丈夫」なんて絶対に思わないで下さい。

 

白砂糖はなるべく使わない

特に難病の場合は、白のみならず、黒砂糖、蜂蜜、みりんや、他の甘味料も禁止。難病でない場合は、黒砂糖ないし米アメか麦アメを一週間に1~3回とるくらいなら可。

 

酸化した油脂は絶対禁止

難病の場合、油そのものを避ける。酸化した油脂とは・・・

 

① 時間の経った油脂すべて(特に不飽和脂肪酸は、極めて短時間で酸化する)

② スナック菓子すべて(当然揚げたてのスナック菓子などありえない。例え揚げたてでも油そのものが酸化している可能性が高い)

③ 煮干し、カツオぶし、マグロぶし、魚の干物、ちりめんジャコ、めざし、など(これらの食品は、よく健康に良いと言われるが、きわめて酸化していることに注目してほしい。またタンパク質は変成し、きわめて腐敗している)

 

過食、大食は絶対にダメ

「腹八分に医者いらず」と昔から言われるが、腹六~七分でちょうどよいくらい。どれほど体に良いと言われるものをとっていても、食べ過ぎてはなんにもなりません。つまり、消化不良を起こし、必ず腸内腐敗になり、それにともなう悪しき原因を生み出します。

 

牛乳、チーズのような飽和脂肪酸が多い乳製品はなるべく避ける

白砂糖などと比べればはるかにマシですが、飽和脂肪酸が多く、動脈硬化のもと。整腸作用目的でヨーグルトを食べる場合は、低脂肪タイプ・無脂肪タイプをセレクトして下さい。

 

夜食は絶対ダメ。また、食べて眠るのはダメ

人間の生理には、眠っているときは腸は働くが胃は働かない、という特徴があります。食べてすぐ眠ると、胃に食物がたまり、それが寝ているあいだに腐敗してしまう。食べたら必ず3~5時間は起きていましょう。

 

よく噛むこと

「鶴亀の齢願わば鶴々と 飲まず亀亀(噛め噛め)亀よ亀亀」という狂歌が江戸時代からあります。とにかく噛めば長生きをするということを言った狂歌ですが、やはりそのとおりだと思います。噛めば食物が微細化して、さらに唾液腺酵素が出現し、唾液腺ホルモンも出現し、消化が大変良くなります。栄養素はスムーズに入りやすくなるし、微細化した繊維素は便塊を多くつくり、腸内毒素の掃除につながります。また、噛むことは頭部全体の運動となるので、脳に良い刺激を与えるのです。

 

動物性タンパク質は少なく。特に肉・魚・卵は問題

これらは大変タンパク質が多いのですが、腸に入り分解する過程で、必ずアンモニア、アミン、硫化水素、ヒスタミン、フェノール、インドール、スカトールといった、体に有害な毒素を産生します。特に動物性タンパク質の過剰摂取は、さまざまな病気の原因になります。適量摂取を心がけて下さい。

 

主食は白米を避ける。また、白パン、白うどん、といった精製物は問題

玄米がベストだが、よく噛めない場合、かえって問題になるので、噛めない人は、三分づきか五分づきにします。酸化せず、発芽玄米粉が販売されているので、これを積極的にとります。

 

無添加、無農薬の食品を選ぶ

かまぽこ・ちくわ・はんぺん、ハム・ソーセージ、チーズなどの練りものは、ほとんど添加物だらけなので、なるべく避ける。

 

「身土不二」になるべく従う

身土不二とは、その土地のものを食べ、季節のものをなるべく摂りなさいということです。

 

穀物中心の食生活

「一物全体食」こそ健康のもとです。

 

醗酵食品を積極的にとる

よい味噌、よい醤油はきわめてすぐれた発酵(酵素)食品です。生野菜・果物も生きた酵素が多く含まれ良い。最近では植物発酵食品の治療補助用製品もあるので、入院時や食欲不振時はそういうもので補うと良い。

 

漬物は積極的にとる。

塩分の取り過ぎには十分ご注意を。

 

飲み水は、水道水はダメ

良い浄水・活水器を水道の蛇口につける。残留塩素ゼロが望ましい。さらに水を活性化してくれるものがお薦め。

 

酒類は、ほどほどに

絶対ダメというほどでもないが、たまに飲むくらいにしたほうが無難です。

 

睡眠はよくとる

体が酸化しにくくなると、必然的に睡眠は短時間で済むようになります。

 

 

たんぱく質・糖質・脂質(脂肪分)・ビタミン・ミネラル(無機栄養素)・食物繊維を六大栄養素と呼びます。これらと肩を並べる新たな栄養成分が、水と酵素です。水を第七の栄養素、酵素を第八の栄養素と呼んで重視する研究者が増えています。

 

酵素はたんぱく質を主原料にして、私たちの体内でも作られるため、「たんぱく質さえ十分とっていれば、体内で無限に作られる」と考えられていました。

 

ところが最近研究が進んで、一生のうちに作られる酵素の量には限りがあるほか、野菜や果物を摂らずに加工食品を多く摂る現代人は、圧倒的な酵素不足に陥っていることが解ってきたのです。酵素ゼロの加工食品の摂り過ぎで酵素不足・・・この弊害は思いのほか大きく、胸やけ・便秘・肌荒れといった症状から、癌・脳梗塞・心臓病・糖尿病などの大病まで、多くの病気や不調が私たちを直撃します。

 

栄養を取り入れて体を作るのにも、毒素や老廃物を排出して病気を治すのにも、「酵素」が関わっているのです。

 

私たちの体の中では、絶えずさまざまな化学反応がくり返し行われています。そうした化学反応のくり返しが、全身の約60兆個もの細胞の新陳代謝(古いものを排泄して新しいものを取り入れる働き)を促して、生命活動を生み出しているのです。

 

実は、この化学反応の"素"になるのが、酵素なのです。

 

ここで最も重要なのは、酵素は「生きている」ということです。この点が、たんぱく質や脂質など、ほかの栄養素とは大きく違うところです。ほかの栄養素は、いうなればすべて素材であり、生きてはいないものなのです。これは、家の建築にたとえてみると、よくわかります。ほかの栄養素は、木材や壁土などの素材に当たり、酵素は大工さんということになります。つまり、素材がすべてそろっても、生きて働く大工さんかいないと家は建ちません。この大工さんの役目を、酵素は人間をはじめ、すべての生物の体内で行っているのです。

 

酵素は、人間の体内には3000~4000種類、量としては何十兆と、ほとんど無尽蔵にあるといわれています。こうした体内酵素は、その働きによって「消化酵素」と「代謝酵素」の二つに分けられます。そして、この二つの酵素の働きが、人間の生命活動のすべてをつかさどっているのです。

 

つまり酵素がなければ、私たちは、体を動かすことも、考えることも、食物を消化・吸収することも、まばたきをすることすらできないのです。人間は、生きるために毎日、外から食べ物を摂ります。すると、『消化酵素」が食べたものを細かく溶かして分解し、 口や腸から吸収できるようにします。つまり、消化酵素は、食べ物の消化・吸収をつかさどっているのです。

 

次に、口や腸から吸収された食べ物(栄養素)は体を動かすエネルギー源になったり、皮膚や筋肉・骨などを作ったり、あるいはホルモンや神経伝達のためのいろいろなしくみ、さらに解毒・排泄・免疫(体にとって異物である癌やウイルスなどに抵抗する能力)といった生命活動を担う材料として組み立てられ、利用されていくことになります。これらをつかさどっているのが「代謝酵素」です。このように、人間の体内では、消化酵素によって消化・吸収された栄養素が、代謝酵素によって全身の機能を作り出す、という作業が延々とくり返されているというわけです。

 

酵素を使い果たすと死んでしまう

 

このように大切な働きをする酵素ですが、実は一生のうちで作られる酵素の量は限られています。この、限られた量の酵素を『潜在酵素」と呼んでいます。すると当然、消化酵素も代謝酵素も、この一定量の潜在酵素の範囲内でしか作られません。したがって、潜在酵素を消化酵素として大量に使ってしまうと、その分、代謝酵素に回される量が減ってしまうのです。当然、その働きの一つである免疫力も弱まってしまいます。

 

ミジンコ(透き通っているので体内の働きがよくわかる)を使った実験では、酵素を使い果たしたときに生命活動が終わる、つまり死ぬということが明らかになっています。酵素を多く使って泳ぎ回ったり、心臓の鼓動が速くなったりしたミジンコは、あまり動かなかったミジンコより早く死ぬのです。人間の場合は、ミジンコよりも複雑ですが、酵素を節約すれば免疫力などの生命活動が活発になり、丈夫で長生きできるという基本部分では同じです。したがって、健康と長生きのためには、潜在酵素を節約しなければなりません。しかし、寝ていても使われる代謝酵素を節約するわけにはいきません。では、どうすればいいのでしょうか。消化酵素をなるべぐ使わないようにすればいいのです。それには、食品から酵素を取り入れることが有効です。もともと、自然の食品には、そのすべてに自らを分解する酵素が備わっています。これを「食物酵素」といいますが、この力を借りれば、体内の消化酵素を節約できるのです。ただし、酵素は熱に弱く、48℃で死んでしまいます。つまり、加工食品はもちろん、煮たり焼いたり、電子レンジで温めたりするだけでも酵素は失われてしまうのです。ですから、食物酵素をとるには、「生のもの」を食べることに尽きます。生野菜・果物・生肉・生魚・漬物………など、生の食べ物をとる以外に、酵素を補給し、潜在酵素を節約する方法はないといっていいのです。だからといって、生肉をふだんよく食べているという人は少ないでしょうし、魚も刺し身ばかりを食べつづけるのは大変です。そうなると、食物酵素をとるために最も効果的なのは、果物や生野菜を豊富に食べること、ということになります。

 

酵素のむだ使いが老化や病気を招く

 

人間の寿命は、人それぞれです。五十歳ぐらいで死ぬ人もいれば、百歳でもピンピンしている人がいます。また、若いときから病気がちな人もいれば、きわめて健康な人もいます。なぜ、このような差が現れてくるのでしょうか。

 

寿命や健康の差というのは、生命活動のもとといえる酵素(体内の化学反応を助けて活発にする成分)の使い方に深い関係があると言われています。前でも書いたとおり、私たちの体内で一生の間に作られる酵素の量は限られています。それは「潜在酵素」といって、遺伝子(遺伝の本体)によって組み込まれたもので、人間にとっての一定量なわけです。したがって、体内の酵素をむやみに消耗すると、老化が進んだり、病気にかかりやすくなったりするのです。つまり、短命な人も、長命な人も、潜在酵素の量は生まれたときにはそんなに差がないのです。問題はその後です。毎日の生活で、どのように酵素を使うかにかかっているのです。短命な人は、潜在酵素を毎日多ぐ使いすぎたため、若くして病気になり命を縮めたといえるでしょうし、長命な人は、潜在酵素を節約しながら使ってきたので、健康が維持でき長生きできたといえるのです。健康で長生きするために重要なのは、潜在酵素の節約です。では、どうしたら酵素を節約できるのでしょうか。それには、生きた酵素が豊富に含まれた食物、つまり「生の食べ物」をとることです。生の食べ物には、もともと消化を助ける「食物酵素」が含まれています。これらの食物をとると、胃の上部で食物自体による消化(予備消化)が進み、消化に使う体内の酵素(消化酵素)を大幅に節約できます。そのことが結果的に、体内酵素全体の節約につながり、長い間には潜在酵素の節約になるのです。

 

ところが最近は、食物酵素がきわめてとりにくい状態にあります。その最大の原因は、加熱調理の普及です。酵素は熱に弱く、48℃以上の熱を加えるとすべて死滅します。つまり、食物はすべて、煮たり、焼いたり、揚げたり、 電子レンジで温めたりといった加熱処理をすると、酵素がゼロになってしまうのです。製造時に熱処理された加工食品やインスタント食品にも、生きた酵素はいっさい含まれていません。

 

酵素は生の野菜や果物で捕える

 

例えば、今日、朝からなにを食べたかを思い出してみてください。朝は、ベーコンエッグにトースト、殺菌のために加熱処理された牛乳。昼は、ラーメンか弁当。夜は、焼き肉にご飯とみそ汁。だいたい、こんな感じではないでしょうか。まして、最近の若い人は外食中心ですし、おなかがいっぱいになることが先決で、栄養のバランスなどはほとんど考えないで食べているでしょう。三食をきちんととらない人も多いようですし、食事代わりにお菓子を食べる人もいるくらいです。

 

このように、改めて現代人の食生活を見てみると、そのほとんどが加熱処理されたものであることがわかります。これでは、潜在酵素の消耗は、かなり深刻だと考えざるをえません。また、食べすぎもいけません。食物酵素を含まない食品ばかりを過剰にとっていると、潜在酵素のほとんどが消化酵素として使われるため、健康な生命活動に欠かせない代謝酵素(体内の化学反応をつかさどる酵素)が不足してしまうことになります。食べすぎが、肥満や高脂血症(血液中のコレステロールや中性脂肪が増えすぎた状態)、糖尿病など、さまざまな病気を招くのはこのためです。このほか、現代人が好んでとる白米や白砂糖、植物油などの精製された食品には、酵素はいっさい含まれていません。また、お酒の飲みすぎや喫煙・睡眠不足といった現代人にありがちな生活習慣も、体内の酵素をどんどん消耗させていきます。

 

生きた酵素をとるために最も有効な方法は、生の野菜や果物をとることです。これは、前で書いたとおりです。

 

ところで、生野菜は体を冷やすからよくないとか、かさが大きく、繊維も多いから、たくさん食べられない。むしろ、煮たりゆでたりしたほうがとりやすいという人がいます。しかし、「酵素栄養学」の考えからいえば、これは間違いです。

 

例えば、生野菜は体を冷やすといいますが、実は食物酵素の補給は、体の末梢の血管の流れをよくし、正常な体温を維持するうえで非常に役立つのです。したがって、酵素の豊富な生野菜を上手にとることは、むしろ冷え症の改善になります。それには、生野菜を食べるとき、陽性のドレッシングをかけて調和(中和)させればよいのです。陽性のドレッシングとは、フラックス油やオリーブ油のような油、さらに、しょうゆ、ミネラル分の多い塩を指します。これらをミックスしてかけると、体が芯から温まり、生野菜の酵素の力がさらに生きることになります。加熱処理した野菜は、ビタミンやミネラル、ファイトケミカル(植物由来の抗酸化栄養素)といった栄養素をとることはできますが、酵素は含まれていないことを覚えておいてください。また、生野菜や果物には、植物色素のポリフェノールやフラボノイド、カロチノイドといった、抗酸化作用や抗腫瘍効果を持つファイトケミカルも豊富です。

 

そして、ガンや細菌・ウイルスをやっつけるということで、最近特に注目されているのは、白血球から作られるサイトカインという物質(50種以上見つかっており、有名なインターフェロンもその一つ)です。実は、生の淡色野菜や果物を食べると、このサイトカインが活性化し、ガン細胞を攻撃したり、細菌やウイルスをやっつけたりすることがわかってきたのです(加熱した野菜では、この作用はかなり少ない)。皆さんも、自分の食生活を振り返って酵素不足を感じたら、ぜひ食事ごとにできるだけ多くの生野菜や果物をとるようにしましょう。

 

酵素が足りないと血液がドロドロになる 

 

私たちの体内にある潜在酵素(酵素とは体内の化学反応を助けて活発にする成分)は、一生のうちで作り出される分量が限られています。そのため、潜在酵素を消化のための酵素(消化酵素という)として大量に使うと、その分、代謝(体内で行われる化学反応)のための酵素(代謝酵素という)が減り、体の働きにさまざまな弊害が出てくるのです。このことは、すでに何度も前でくり返し書きました。

 

ここでは、そのとき体内でどういうことが起こり、病気がどのように引き起こされるのかをくわしく書いていきましょう。結論から先にいうと、体内の酵素の量と働きのバランスが崩れると、血液の流れが滞り、血液中にいろいろな成分がたまってドロドロになり、血栓(血の塊)もできやすくなって、さまざまな病気が起こってくるのです。私たちの血液は、脂肪・糖・たんぱく質・ホルモン、そして酵素などを含む血しょうという液体成分と、赤血球・白血球・血小板からなる血球という固体成分に分けられます。

 

血液の流れが滞るのは、この血しょう成分がドロドロしてくる場合と、血球がドロドロしてくる場合の、二通りがあります。

 

まず、血しょう成分がドロドロしてくるのは、次のような場合です。血液中にコレステロールや中性脂肪・糖などが増えると、血液は粘りけを増してドロドロになり、血液の流れそのものが悪くなります。その結果、動脈硬化(動脈の老化)を招き、脳梗塞や心筋梗塞など、突然死に結びつくような病気まで引き起こしてしまうのです。例えば、コレステロールのうち動脈硬化を招くのは、LDL(悪玉)コレステロールです。血液中にだぶついたLDLコレステロールは、活性酸素(攻撃性の強い酸素)によって酸化され、何かの原因で傷がついた血管壁に付着します。その結果、血管の内腔(内側の空間)が狭くなり、動脈硬化を招くのです。

 

また、血液中に中性脂肪が増えすぎると、血液の粘りけを増すほか、HDL(善玉)コレステロールが減ってしまいます。HDLコレステロールは、血管壁に付着したLDLコレステロールを回収する役目を持っているため、これが減ってしまうと動脈硬化はいっそう悪化します。

 

一方、血液中に糖が増えすぎた場合は、直接、血液の粘りけを増して血管壁を傷つけます。また、間接的に肝臓での脂肪の合成を進めて、コレステロールも中性脂肪も増やしてしまうといった害も起こすのです。では、もう片方の血球成分のドロドロした状態とはどのようなものなのでしょうか。それは、赤血球どうしがくっつき、ダンゴ状になっている状態です。正常な血液では、赤血球が離れてバラバラになっているものですが、なんらかの原因で血管壁が傷ついたり、血液の流れが悪くなったりすると、赤血球がくっついてしまうのです。すると、全身の細胞に酸素や栄養分が行き渡らなくなります。特に毛細血管の先にある細胞が酸素不足や栄養不足になると、手足の冷えやしびれ・肩こり・腰痛などを引き起こします。また、細菌やウイルス、ガン細胞と闘う白血球の行動範囲が狭められるため、感染症やガンなどにもかかりやすくなります。さらに、ホルモンや自律神経(意志とは無関係に内臓や血管の働きを支配する神経)の乱れ、それに伴う内臓の働きの低下などを招くこともわかっています。

 

栄養素が分解されず血液中にだぶつく

 

このような血液のドロドロ状態を招く最大の原因は、なんといっても消化酵素の不足です。そのことは、消化酵素と代謝酵素の関係を考えれば明らかでしょう。

 

体内では、酵素は優先的にまず消化のために使われ、次に代謝のために使われます。したがって、消化酵素が不足すると、脂肪やコレステロール・糖なども完全に分解されないまま、血液中でだぶついてきます。すると、先に述べたような弊害が血管内に起こり、血液がドロドロしてくるのです。

 

消化酵素の代表的なものとしては、たんぱく質を分解するプロテアーゼ、脂肪を分解するリパーゼ、炭水化物を分解するアミラーゼなどがあります。消化酵素の主な仕事は、この三大栄養素を消化・吸収することといってもいいのです。そして、血液のドロドロ状態に陥っている人のほとんどが、これらの消化酵素が不足しているといっても過言ではありません。食べ物に含まれている栄養分は、胃や腸で細かく分解されます。この消化活動は、たんぱく質ならアミノ酸まで、脂肪なら脂肪酸まで、炭水化物ならブドウ糖まで、といったように、まさに分子レベルにまでバラバラに分解されます。こうなって初めて、栄養分は腸から吸収されるようになるのです。

 

ところが、消化酵素が不足して、胃や腸での分解が不十分だと、体は栄養分をエネルギー源に変えて利用することができません。つまり、代謝活動が弱くなってしまうのです。こうなると、栄養分がどんどん血液中に入ってきても、十分に利用されないままになり、だぶついてしまうことになります。血液中に脂肪や糖などがだぶつくのは、このためです。

 

つまり、血液のドロドロした状態は、なんといっても消化酵素不足が主原因なのです。

 

加熱すると酵素は死んでしまう

 

私たちの体は、消化酵素(食べた物を消化するための酵素。酵素とは体内の化学反応を助けて活発にする成分)が不足すると、血液の流れが悪くなって、いろいろな病気を誘発してしまいます。それを防ぐために、食物酵素(食物が持っている酵素)の豊富な食べ物をとり、酵素を補う必要があるのです。酵素は熱に弱く、48℃以上の熱が加わると死滅してしまいます。ですから、煮たり、焼いたり、電子レンジで温めたりといった、なんらかの加熱処理がされている食品をいくらとっても、消化酵素を取り入れることはできません。生きた酵素を取り入れるには、「生の食物」をとるしかないのです。もちろん、生肉や生魚・生卵などにも酵素は含まれていますが、やはり毎日手軽に食べることができ、酵素も豊富にとれるのは、果物と生野菜です。酵素を効率よく補うなら、毎日、果物と生野菜をたくさんとることをおすすめします。

 

ちなみに果物と生野菜には、酵素が豊富なだけでなく、植物色素のポリフェノールやフラボノイド、カロチノイドといった抗酸化作用や抗腫瘍(抗ガン)作用など、体にとって極めて有益な働きをする栄養素も大量に含まれています。こうした色素系の成分は、何千種類も発見されていますが、そのほとんどが活性酸素(攻撃性の強い酸素)を強力に除去し、細胞の破壊や油の酸化を抑え、体の老化や病気を防いでくれるのです。そのほか、ビタミンやミネラル(無機栄養素)が豊富で、酵素の活動を促す、水分や繊維が多く腸をきれいにするといった、健康面でのプラス効果は数え切れないくらいです。

 

果物は、新鮮なものならなんでもいいのですが、特にパイナップル、パパイヤ、バナナ、キウイフルーツ、マンゴーには、自らだけでなく、ほかの食品まで分解する特別な酵素も多く含まれています。

 

野菜は、レタス、キャベツ、ニンジン、セロリ、タマネギ、トマト、パセリ、ピーマン、ネギ、キュウリ、大根、青ジソなどに、酵素をはじめ、体にいい成分が多く含まれています。特に淡色野菜は生で食べやすいし、抗ガン作用のある物質(白血球から作られるサイトカイン)も活性化するので、たくさん食べてほしいものです。

 

果物は果糖を多く含むことから、多く食べると太るのではないかという人かいますが、これも全くの誤解。果糖は体内での代謝(体内で行われる化学反応)が速いため、体脂肪としてたまることはありません。むしろ、酵素が豊富な果物を積極的にとっていると、体内の代謝が活発になり、蓄積されている体脂肪が減ってきます。さらに果糖は、インスリン(血糖値を調節するホルモン)を全く動員させないこともわかっており、糖尿病の心配もありません(アメリカ、マークス博士による)。果物はカロリーも低く、ビタミン、ミネラルも豊富で、80%は水分です。これ以上、体によい栄養食品はほかにはないといえるでしょう。

 

なお、できれば一日三度の食事のたびに、果物と生野菜の両方をとってほしいものです。それが無理なら、ジューサーでジュースにして飲んでもいいでしょう。果物や生野菜は細かぐ砕いてジュースにすれば、より効果が上がることがわかっています。例えば、朝は果物だけを食べるか、果物か生野菜のジュースだけにして、昼食と夕食は生野菜をたっぷりとりながら、ふつうに食事をとってください。朝に果物をとると、胃腸に負担をかけずに排便を促します。また、効率よく脳やそのほかの器官に栄養素を供給することもできます。よい朝食とは、消化がよく、ビタミン、ミネラル、水分が豊富で、よい糖質(複合糖)が含まれていることが、最大の条件です。果物は、まさにこの条件を100%満たしているのです。ちなみに、大根おろしのように、おろし器で野菜や果物をおろすと、酵素が何倍にも活性化することがわかっています。おろして食べるものといえば、大根、ショウガ、ニンニク、ニンジン、リンゴ、ナシ、モモなどがありますが、おろせるものならなんでもおろして食べてみるといいでしょう。なお、おろし器は鉄製のおろし金でもいいのですが、セラミック製なら、酵素の活性をさらに高めることができます。

 

植物発酵食品にも酵素は豊富

 

果物と生野菜のほかには、植物発酵食品をとることもおすすめです。発酵とは、酵母(酒の醸造などに使う菌類)や細菌などの微生物の酵素を利用して有機化合物(炭素を含む化合物)を分解することをいいます。そうした微生物は、消化酵素をたくさん持っています。そのため、微生物で発酵させた食品には、発酵させないものよりも、消化酵素が格段に多く含まれているのです。その代表的な食品といえば、なんといっても納豆。納豆は、納豆菌という細菌で大豆を発酵させたもので、たんぱく質を分解するプロテアーゼのほか、炭水化物をブドウ糖に変えるアミラーゼ、脂肪をグリセリンと脂肪酸に分解するリパーゼ、繊維質を糖に変えるセルラーゼなど、さまざまな種類の消化酵素が実に豊富に含まれています。さらに最近では、血栓(血の塊)を溶かすナットウキナーゼという酵素が含まれているとわかり、注目されています。納豆は、一日一パック(100g)を目安にしてとれば、十分な効果が期待できます。

 

また、私たち日本人が昔からよく食べてきた漬物にも、酵素がたくさん含まれています。中でも、ヌカやコウジで漬けた漬物には、特に酵素が豊富です。ただし、古漬けは塩辛いので食べすぎはいけません。みそも発酵食品の一つで、酵素を豊富に含んでいますが、みそ汁のように熱を通してしまうと、酵素は死んでしまいます。みそで酵素をとるには、モロキュウなどで生のまま食べなくてはいけません。ちなみに、しょうゆにも酵素は含まれていますが、活性はあまり高くありません。そのほか、身近な発酵食品としては、ヨーグルトがあります。

 

ぜひ、毎日の食事に、こうした酵素の豊富な食品を積極的に取り入れて下さい。

 

 

酵素と並ぶ体の中の魔術師「ホルモン」

 

酵素と並んで、まさに体の中の魔術師といえるのがホルモンです。ごく微量でも不足すれば、年齢不相応の老けや体のゆがみを招くほか、やる気や記憶力まで衰えてしまいます。

 

ホルモンは、心と体のバランスを取るために、体のすみずみまで情報を伝達したり、あるいは体のあちこちを刺激したりする働きのある物質です。人間の体内には、約80種類のホルモンがあり、それぞれが特色ある多彩な働きをしています。ホルモンは、私たちが心身ともに健康であるために欠かせないものです。ホルモンの多くは、主にアミノ酸(たんぱく質の構成成分)から作られます。そこで、ホルモンの主原料となるアミノ酸が不足しないようにすることが、ホルモンの正常な働きのためには欠かせません。

 

人間の体内には、20種類のアミノ酸があります。これらのうち、どれーつが欠けていても、ホルモンはうまく作られなくなります。

 

20種類のアミノ酸のうち11種類は、体内で合成され、非必須アミノ酸といいます。残りの9種類は、体内では合成できません(これを必須アミノ酸という)。そこで、この9種類のアミノ酸を含んでいる食品から、食事としてとらなくてはなりません。私たちは、食事でアミノ酸を直接とっているわけではなく、たんぱく質の形で食品からとり人れています。たんぱく質は、一万個以上ものアミノ酸がつながってできた、非常に複雑な構造になっています。そのために、たんぱく質をとっても、そのままの形では、体内でホルモンを作ることはできません。食事からとり入れられたたんぱく質は、胃や腸などが分泌する消化酵素(消化を助ける成分)の働きで、一つ一つのアミノ酸にまで消化され分解されます。そのあと、体内に吸収されて、ホルモンや新しいたんぱく質、酵素(体内の化学反応を助けて活発にする成分)などに作り替えられるのです。

 

アミノ酸は、非常に結合力が強く、バラバラになったアミノ酸が、アミノ酸の結合力によって、ある一定の順序につらなるとホルモンになります。この順序は、遺伝子(遺伝の本体)がきちんと覚えているのです。体内でホルモンがうまく作られるためには、まず、たんぱく質を含む食品をとることが基本になります。そして、良質のアミノ酸をバランスよく摂取することが必要です。

 

また、一つの食品が、必須アミノ酸のすべてを含んでいるわけではないので、毎日の食事では、できるだけ多くの種類の食品を、バランスよく食べるように心がけることが大切になってきます。

 

アミノ酸のバランスは 和食の朝食が理想的

 

アミノ酸のとり方としては、民宿や旅館で出される和食の朝食が理想的な例になります。白米にはアミノ酸のほとんどが含まれていますが、リジンという必須アミノ酸が不足しています。そのために、白米をたくさん食べて、おかずを少々という昔の日本人の食生活では、リジン不足になることがよくありました。

 

ところが、みそ汁のみその原料である大豆のたんぱく質には、リジンがたくさん含まれています。さらに、生卵は、やはり必須アミノ酸のメチオニンを補ってくれます。

 

このように、伝統的な日本の朝食は、決してぜいたくなものではなく、ごく素朴でありながら過不足なく必要なアミノ酸がとれるようになっていました。また、これも民宿や旅館の朝食によくついてくる納豆は、大豆製品の中でも、最もおすすめできるアミノ酸の供給源です。たんぱく質は、体内でアミノ酸に消化・分解されてから、初めて吸収されます。そのために、せっかくたんぱく質をとっても、アミノ酸にまで分解されないで、そのまま排泄されることがあります。また、たとえ消化・分解されても、吸収されるまでに時間がかかります。ところが納豆は、原料である大豆のたんぱく質の一部が、発酵の途中ですでにアミノ酸にまで分解されています。納豆は、ヨーグルトと同じように、微生物の働きを利用した発酵食品です。微生物は発酵の途中で、納豆に含まれるたんぱく質を分解し、その一部は、最も小さい単位であるアミノ酸にまで変化します。また、アミノ酸にまで分解されないたんぱく質も、最初の一万個以上ものアミノ酸がつながった状態のままではなく、かなりバラバラになっています。そ