排便は健康のバロメーターです。
腸の健康を保ち、良いうんちを出して、便秘や痔にならないようにするために特に大切なのが、食物繊維が豊富な食事を取ることです。
食物繊維は穀類、豆類、野菜、イモ類、キノコ、海藻類に多く含まれます。
健康には良いと分かっていても、いざ食べるとなると、「食物繊維が多い食品ってあまり魅力的ではない」などと感じている人もいるのではないでしょうか。
今回は、そんな食物繊維のイメージを変えつつ、気軽に作れるメニューを3品紹介します。
一つ目のメニューは「おからとお豆のピクルス」です。
乾燥おからを使い、材料をあえるだけの超簡単メニューです。
おからといえば「卯(う)の花」が定番ですが、和食が苦手な人でも、ピクルスにすれば食べられるのではないでしょうか。
また、二つ目の「カンピョウとツナのオムレツ」も、ぜひ試してほしい一品です。
カンピョウといえば、巻き寿司やちらしずしに使うものという固定観念があるかもしれません。
オムレツにすると、カンピョウの意外な食感が楽しめます。便秘の子どもさんにも良いと思います。
三つ目の「緑茶香る豚肉のオールブラン焼き」は、小麦ふすまのシリアルと緑茶をミキサーにかけて細かくくだき、それを衣にします。
緑茶にはビタミンCが含まれていますし、小麦粉やパン粉をつけて焼くよりも食物繊維がたくさん取れます。
トマトと手作りドレッシングを混ぜたソースをかけると、さっぱりとしていますし、見た目もおしゃれになります。
便秘と痔の予防には食生活の見直しを
私のクリニックは、同じビルの5階に「フローラカフェbyNLC」というカフェを併設しています。
ここでは、食物繊維が豊富なランチメニューとデザートを患者さんや一般のお客さんに提供しています。
ここで紹介した3品は、フローラカフェで人気のメニューです。「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の成人女性の食物繊維摂取基準は18gですが、フローラカフェでは、1食のランチで、8~12gの食物繊維が取れるように工夫しています。
口から腸、肛門まで1本の管でつながっていますので、おしりから出る便を良い状態にし、痔にならないようにするには、口から摂取する毎日の食事がとても大切になります。
食物繊維は便のかさを増やし、腸をきれいにする役割も果たしています。
忙しい女性は3食バランスよく取ることがなかなか難しいので、3食の中の1食だけでも意識して、食物繊維がしっかりと含まれている食事を取るようにすると、便秘が改善することが多いはずです。
切れ痔(裂肛)やいぼ痔(痔核)を薬物療法で治しても、便秘が続いたり、下剤を服用して下痢が続いたりすれば、痔は再発します。
ファストフードばかりの食事や過剰なダイエットで食事をほとんど取っていないような普段の食事内容を見直し、食物繊維を1日18g以上取ることを心がけましょう。
そうは言っても、食物繊維の摂取方法が分からない方も多く、「食物繊維=おいしくない」との印象を持っている患者さんもいらっしゃいますので、実際に食事できる場所を提供できないかと考え、2014年にフローラカフェを開設しました。
コンビニでお弁当や総菜を買って食事を済ませることが多い人は、納豆を1日1パック、温野菜、ヒジキや切り干し大根の入った総菜を食べるようにしたり、お弁当も食物繊維の量が多めのものを選んだりするとよいでしょう。
また、自分で食事を作る時には、主食を白米から雑穀米に替えたり、キヌア(南米発祥の穀類)、あるいは押し麦やひじきを入れてご飯を炊いたりすると、食物繊維の摂取量が簡単にアップします。
忙しい朝はスムージーで野菜と果物を取るようにしても良いと思います。
小松菜、リンゴのすり下ろしたものを、小分けにして冷凍しておき、スムージーブレンダーやミキサーを使って、豆乳やリンゴジュースと混ぜると簡単にスムージーができます。
ただ、スムージーだけでは便秘の解消は難しいので、食事でしっかり食物繊維を取るようにしてください。
一方、過敏性腸症候群で頻繁に下痢をしている人や、下痢と便秘を繰り返している人が食物繊維を取り過ぎると、調子を崩してしまうこともあるので、過剰な摂取は禁物です。いろいろ試してみて、下痢をしてしまったり、おなかにガスがたまったりしやすい食品は、避けるか少量にしましょう。
それから、便秘解消には運動も大切です。職場、電車やバスの中で、姿勢を正して腹式呼吸をするだけでも腹筋が鍛えられて腸が刺激され、蠕動(ぜんどう)運動が高まります。
通勤時間やランチタイムを利用して少しでも歩くようにし、運動を習慣づけるようにしましょう。
*野澤真木子 / 日本橋レディースクリニック院長