「従来の糖質制限食」というのは「過剰な糖質摂取による『余剰のブドウ糖』が及ぼす『悪影響』のみを問題にした食事法」であるということだ。
『糖尿病』の患者にとってはまさしく「糖質制限食」がピッタリ当てはまる「治療食」になるが、糖尿人でない「肥満の解消」や「健康増進」にも「効果」が期待できると言われている。
しかし「インスリン分泌能低下型」がほとんどである「日本人女性」にとって、やみくもに「高たんぱく質・高脂質食」を行っても「うまくいかない」ことが多い。
にもかかわらず「糖質制限」を勧める「啓蒙書」の「最新刊」を読んでみたが「このような現状」に一言も触れていない。
「ケトン体は素晴らしいと叫んで肉食を勧めている」が、実践者のすべてが「ケトジェニックモード」に「変身」できているわけでもない。
「ケト適応」が出来ているか「血液検査」を勧めているわけでもない。
「肉と卵とチーズ(MEC食)」は「糖質制限食」を始めようとしている入門者にとっては「理解しやすい食事法」であるが「長期的観点」から見ると「安全性」には「疑問」が多いことはこれまでも指摘しているところである。
特に「食物繊維を軽視し食品添加物に対しても危機意識がない」ことに「危惧」している。
また「非糖尿人」での「糖質制限食」では「たんぱく質や人工甘味料による追加インスリン問題」について最新刊には「一言もふれられていない」
特に「インスリン分泌能低下型」では「無理にケトジェニックモード」にすることで「想定外の副作用」も起こっており「ストイックな糖質制限食」を自己流で行うことは「危険」であるからである。
「糖質に偏ったエネルギー代謝」がもたらす弊害を解消するために「休眠状態に陥っている脂質によるエネルギー代謝」を「再起動」するのが「糖質制限」の考え方であるが、そこには「血糖値」をあやつる「インスリン」についても「目を光らせておかないといけない」
なぜなら「1型糖尿病」以外の「2型糖尿病」と「非糖尿人」にとっては「過剰のインスリン」が「作用」すると「活性酸素を発生し炎症」をもたらし「過剰のブドウ糖がもたらす弊害」よりも大きな影響を与えるからだ。
「糖質制限」であったとしても「高インスリン状態」になり「脂肪肝」「高脂血症」で「動脈硬化リスク」が上昇していることがあるのだ。
「糖質制限食」は「治療食」であり、少なくとも「スーパー糖質制限(一日の糖質摂取量60g以下)」を行う場合は「定期的な検診」は欠かせない。
失礼な言い方になるが「糖質制限を推し進める先駆者の先生方」は「糖尿病の合併症」が「低インスリン治療では起こらない」という「真実」から「インスリン動態も考えて糖質制限食を行っていかないと副作用が発生してしまう可能性があること」を学んでいないのだろうか。
「低インスリンダイエット法」は「血糖値」をコントロールするだけでなく「インスリンの動態」をも意識した「食事法」である。
新井圭輔先生の名言
「ブドウ糖は毒・インスリンは猛毒」
という「視点」がなければ「正しい食事法」とはならない。
しかも「インスリン分泌能低下型」で、しかも「たんぱく質不足」を伴う「体質」では「糖・アミノ酸・脂質」の代謝に「大きな障害」をきたしていることが多い。
このような「体質」であることを知らずに、いきなり「低糖質・高たんぱく質・高脂質食」を「自己流」で始めようものなら「想定外の副作用」が発生することは「容易に想像がつく」はずである。
「胃腸の働き」「消化機能」「腸内細菌叢」つまり「栄養」を取り入れる「入り口」についても「何が大切か」を考えなければならない。
特に「グルテンフリー」については「これまでの啓蒙書」では「一切触れていない」
むしろ「グルテンン」の入った「低糖質グッズ」を「推奨」しているのを見ると「開いた口がふさがらない」
鈴木功先生が紹介してくれた「間欠的ファスティング」という手法を取り入れていかないと「内臓脂肪」を有効に減らしたり「インスリン抵抗性」の改善は「従来の糖質制限法」では解決できない。
「糖質制限」を始める前に「自分の体質を正確に把握」し「目的を明確」にする。
そして「最善の食事法を患者さんと一緒に考える」
しかも「楽しめる食事法」であり「違和感がなく継続できる食事法」でなければならない。
「低インスリンダイエット法」が「従来の糖質制限」と「考え方が違う」のはここにあると言ってよい。