亜鉛ワールド "the Zinc World"               吉冨 信長


必須ミネラルの一つ、亜鉛は人体にある300種類以上の酵素に関わっており、そのうち120以上が分子構造の構成に使用されています。

そもそも亜鉛はこうした酵素だけでなく、2,000以上の転写(=RNA合成)調節因子の発現や機能に関わっており、RNA合成を触媒することが本来の機能といえるかもしれません。

 

生命が誕生する約38億年前の海は、鉄硫黄がリッチな環境であったとされるため、通説では硫化鉄(FeS)がパイライト(FeS2)になるときのエネルギーを利用して生命が誕生したとされています。

さらに、鉄硫黄タンパクこそが最も古いタンパク質であるという説が有力であり、実際に私も、約30年前(1989年)に発表されたパイライト仮説をもとに原始生命と鉄についての話を勉強会でしてきました。

 

ところが、10年ほど前にこの通説にとって代わる新説が発表され、そこから少しずつ、生命誕生とミネラルの関係におけるパラダイムシフトが起きつつあります。

 

それこそが「亜鉛ワールド」("the Zinc World")といわれるものです。

(ちなみに日本ではこの説をリリースした文献や書籍はまだないと思います。)

 

生命が誕生する以前の海は塩酸が多かったため強酸性で、既にRNAに類似した分子が存在し、さらに少数のタンパク質類似分子が存在していましたが、ミネラルの培地はあまりありませんでした。

 

当時、海底では数百℃の熱水が噴出しており、これによって硫化亜鉛、硫化マンガン、硫化鉄、硫化銅などが生成され、海中に沈殿していきました。

確かに地球は惑星の中でも珍しく鉄の鉱物が多いこともあり、またミトコンドリアや光合成細菌などの古代のバクテリアも鉄硫黄クラスターを利用していることもあって、鉄リッチな環境で生命が誕生したという説が有力だったのです。

 

しかし、熱水噴出孔からこれらのミネラルが析出されるにあたり、鉄と銅の硫化物の方が亜鉛やマンガンよりもはるかに早く析出されるため、先に析出した鉄と銅の上を覆うように硫化亜鉛や硫化マンガンが蓄積されるということが判明しました。

 

さらに、蓄積した鉱物の表面を陣取った硫化亜鉛はもともと難溶性ですが、亜鉛はご存じのように日焼け止めクリームの成分として利用されるように、紫外線を吸着し減衰させる性質があるため、海中の硫化亜鉛は光合成の標的となっていきます。

こうした亜鉛の強力な光触媒作用で光合成によって大気中の二酸化炭素(CO2)を還元していき、さらに硫化亜鉛は亜鉛イオン(Zn2+)に解離し、亜鉛リッチな海へと化していきました。

 

当時の海に生命が誕生するだけの材料は既にありました。

RNA分子やタンパク質分子です。

ただし、ミネラルの培地は無かったため生命誕生には至りませんでした。

しかし、大量の亜鉛イオンの存在により、RNAおよびタンパク質はいよいよ亜鉛イオンの捕捉に成功します。亜鉛はその性質上、タンパク質などの分子と配位結合をもつことで折り畳み(フォールディング)を誘導したり、タンパク質どうしを結合させる作用があります(この性質は栄養学でも習いますね)。

 

実際に現存のRNA分子の構造要素や触媒補因子として、亜鉛とマンガンが多く使用されています。

鉄はほとんど発表されていません。

さらに、原始的な古細菌・細菌・真核生物に共通する、進化的に最も古い折り畳みタンパク質49種類を見ても、亜鉛を含むものはうち37種類あり、マンガンは19種類あります。一方で鉄は3種類だけでした。

 

この亜鉛ワールドはいわゆる「RNAワールド仮説」と一致しています。

RNAワールド仮説とは生命誕生前の原始地球の海においてRNAがメインとなって自己複製がされ、現生生物へと進化したという説です。

実際に、亜鉛イオンは古代のリボザイム(RNA)や古代酵素に他ミネラルに優先して関係しており、高いレベルで結合しています。

 

では、鉄硫黄タンパク質が最も古いタンパク分子である、という通説はどうなったのでしょうか。

上述のように、古代の細菌群に共通するRNAや最も古い折りたたみタンパク質には鉄の含有がほとんどなかったため、鉄硫黄クラスター(鉄硫黄タンパク質の最小構成成分)は海の亜鉛量が減少してきた後に利用されたものではないかと結論づけられています。

 

実際に、鉄硫黄クラスターはタンパク質の補因子や海底結晶として機能するように、亜鉛硫黄クラスターも同様な機能性があり、さらに鉄硫黄クラスターよりも広範囲に利用されています。

亜鉛硫黄タンパクは(ジンクフィンガーなどのように)原始的なRNA/DNAと関連していますが、一方で鉄硫黄タンパクは電子伝達系で見られるように電子の移動反応に利用されています。

さらに、鉄硫黄クラスターはむしろRNA/DNAを効率的に切断する働きがあるため、原始RNAに結合し、直接関与している可能性はとても低いのです。

 

つまり、亜鉛依存のRNAや酵素を中心にした生命が初めに誕生し、次第に海中の亜鉛が枯渇するにつれ、鉄がリッチとなり、鉄依存を中心にした生命が誕生してきたとされています。

さらに、ミトコンドリアの祖先である光合成細菌が大繁殖をしたたいめに今度は鉄が枯渇し、いよいよマグネシウム中心の生命体が幅を利かせたり、進化したりしたという流れです。

(原始海洋では亜鉛リッチな環境であったという証拠は他にもいくつかありますが割愛します)

 

地球生命体の誕生前にはRNAワールドであったという説が有力であれば、その背景には亜鉛が豊富な環境(亜鉛ワールド)であったということも、現在の亜鉛の機能性(RNA合成、酵素合成、細胞増殖など)を考慮すれば、大きくうなずけます。

 

栄養学的ミネラルの性質は、頭の中でやみくもに暗記していくことではなく(日本人の悪い癖)、こうした生命誕生前の環境や生命進化を辿ると、とても興味深く印象に残っていきますね。

亜鉛は私たち人体に必須なミネラルであり、薬理作用のあるミネラルであるものの、原子生命体を誕生させるきっかけとなったミネラルともいえるのです。

 

 

 








          たきがみ博士の想い

 

誰でも、自分の中に伝統がある。自分が経験したすべての過去の累積、それが”いま”のわたし。

過去とは思いだすこと、現在(いま)は過去の必然、そして、未来は想い、選択すること。

いまは、変えられない。

しかし、人には明日があり、未来がある。明日は、こうありたいと想いを持つことができる。

 

すてきな明日に向かって、”これからへの想い”を具体化するJourney、しっかり楽しみたいと思います。

そして、”いま、ここ”を丁寧に活きる。

みずからの人生の軌跡を、すてきな笑顔でみつめるために。

 

旬(ときめき)亭 亭主 たきがみ博士
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