自分の身体は自分で守る時代が来たと思う。
これ以上、がんや糖尿病などの慢性病の犠牲者を増やしてはならない、誰しも強くそう思っているはずだ。
そこで、今回は乳がんのリスクファクターと予防策をまとめてみる。
※これらはあくまで私の見解である。
それなりに信用のあるデータや医学情報からまとめたもので、当然だが、確固たる基盤となるとは決して言えない。
また、これはあくまで予防の観点であり、治療とは異なるものである。
以下、何かの参考になればと思う。
【リスクファクター】
乳がんと関係のあるリスク要因(ファクター)はほぼすべてエストロゲン優勢・エストロゲン過剰といってよい。
リスクファクターとは、確実になるものではなく、「要因として可能性がとても高い」ということ。
つまり、まずはこれらをいかに避けるかが重要となってくる。
◎環境ホルモン(エストロゲン様物質)
環境ホルモンとは内分泌かく乱物質とも呼ばれ、人工的に生成された化学物質や汚染物質が体内に入り込み、性ホルモンと似た作用をしてしまい、遺伝子DNAに悪影響を及ぼしてしまう物質の作用のこと。
ダイオキシン、(一部の)植物油、輸入肉や輸入乳製品に含まれる成長ホルモン、プラスチック、農薬、除草剤、排気ガス、毛染め、石油由来の化粧品・マニキュア、溶剤・接着剤、洗剤、(一部の)食品添加物など。
これらが悪性のエストロゲン様作用を引き起こす。
◎ホルモン補充療法
一般のホルモン補充療法(ERT、エストロゲン補充)は乳がんのリスクを高めるという大規模な研究結果がある。特に多量の使用は要注意。
◎経口避妊薬(ピル)の長期的な使用
経口避妊薬の使用経験のある未成年は、乳がんリスクが3倍であったという統計がある。他にも相関データが多々ある。
◎乳房インプラント(シリコンジェル)
シリコンジェルを使用した乳房インプラントは、乳がんのリスクファクターである。
ポリウレタン素材は発がん性が高い。
また、定期的に消毒するためにエチレンオキシドを使用するが、これも乳がんのリスクファクターとIARC(国際がん研究機構)が指定した。
◎多量のアルコール
◎多量の喫煙
◎早すぎる初潮、遅い閉経
初潮が早すぎるほど、また閉経が遅すぎるほど、乳がん発症のリスクが高まる。
◎肥満
肥満になると、特に腹部の脂肪細胞からエストロゲンを多く生合成してしまう。
◎医薬品の大量摂取
降圧剤(レセルピン、アプレゾリン、スピロノラクトン、テノーミン)、抗生物質(フラジール)、バリウム(ジアゼパム)、ベンゾジアゼピン、エラビル、プロザック、ナイトロジェン・マスタード、コレステロール降下剤など、それぞれの多量摂取。
◎運動不足
アメリカやカナダの調査では、運動量が少ない人において、乳がん死亡率が顕著に増加することなどわかっている。
◎ストレス
http://urx3.nu/Er37
【予防策と主な栄養】
栄養素は生理的作用以外に、抗がん作用としての薬理作用も注目されている。
特に乳がんに対して薬理的に作用する栄養素をまとめてみた。
他にもあるが、まずは欠乏してはならない栄養素を取り上げている。
◎ビタミンD
血清ビタミンD濃度が充足していると乳がん発症は低下する
http://urx3.nu/Er3e
転移性乳がんとビタミンD欠乏の関係
http://urx3.nu/Er3h
マグネシウムがビタミンDの代謝に必要
http://urx3.nu/Er3l
ビタミンDとガン組織
http://urx3.nu/Er3q
ビタミンDのがん増殖阻害
http://urx3.nu/Er3s
ビタミンDを活性型にする酵素
http://urx3.nu/Er3x
ビタミンDの抗がん作用
http://urx3.nu/Er45
◎ビタミンC
スウェーデンの研究では、ビタミンC摂取が乳がん死亡率を低下させるというメタ分析がある。(Eur J Cancer. 2014 May; 50(7):1223-31)
◎亜鉛
亜鉛は乳がん予防に必須のミネラル
http://urx3.nu/Er36
◎セレン
乳がんとセレンの関係
http://urx3.nu/Er35
◎メラトニン
夜間に分泌されているメラトニンの量が正常であれば、乳がん細胞の増殖を抑えるのに十分な量であるといわれる。
◎味噌
ラット実験では、発がん性物質を投与し続けたラットにおいて、味噌入りのエサを食べているグループの乳腺がん発症率は低かった。
また、乳腺腫瘍をもったラットにも味噌の量が増すと、腫瘍の成長を抑えたり、腫瘍が小さくなったものまでいた。 (Gotoh T,1998)
味噌や納豆などの発酵食品に含まれているポリアミンにも抗炎症作用があり、血管や各組織の老化を防ぐ効果がある。
◎ヨモギ(適量)
http://urx3.nu/Er3
※他にもいろいろある。
【神話】
◎寿命が長くなったから乳がんが増えた
ここ30年日本人の寿命は比較的安定しているが、罹患率は2.5倍も増えている。寿命が延びたことが乳がん増加の理由にはならない。
◎乳がん発症率は早期発見できるようになったから
乳がんの発症率が急激に高くなったのは、マンモグラフィ検査が導入される「前」からである。日本だけでなく、イギリスをはじめヨーロッパ諸国では大規模検診をしていない国でも乳がんの発症率は増えていた。
◎マンモグラフィは転移性乳がんの減少に役立つ
アメリカもスイスもマンモグラフィに効果がなかったことが示されている。
マンモにより発見率が上がったとしても、本来の最終目的としている転移性乳がんの発生はいっこうに減らなかった(Archie Bleyer, N Engl J Med 2012)
◎早期発見・早期治療が最善の予防策
検診より予防が大切
http://urx3.nu/Er3c
◎乳がんは遺伝性リスクに大きく寄与する
決して遺伝性に関係するとは言い難いデータ
http://urx3.nu/Er3b