体内のミネラルが不足していると、多くの栄養素は働きません。ビタミンが体内で働くにはミネラルがないと上手くいきません。体内で活躍する酵素は、やはりミネラルがないと機能しません。ホルモンの分泌も、エネルギー産生も、細胞内の生化学反応も、DNA・RNAも、そしてすべての代謝も、このミネラルがあってはじめて働くのです。
そもそもミネラルとはなんでしょう。水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)の4つの元素を除いた残りを総じて、ミネラルと呼ばれています。カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウムなどの主要ミネラルと、鉄、亜鉛、銅、セレンなどの微量ミネラルに分けられます。
人間を構成する成分は、水素、炭素、窒素、酸素の4大元素(=タンパク質、脂質、炭水化物、水)が96%、そして残り4%がミネラルです。ミネラルは微量成分のため、医学界の中ではどうしても注目されずに陰に隠れていましたが、このわずか4%の成分が生体の恒常性や機能を維持しているといっても過言ではありません。
ミネラル研究史(ここ数世紀の話)においても、どうしてもその中毒性についてしか注目されませんでしたが、ようやくここ数十年でその重要性や必須性が上げられるようになりました(紀元前ではすでにミネラルの概念はあった)。さらに単体ミネラルとしての機能というよりは、ミネラル間の相乗性や相互性、そしてそれらのバランスが重要であることがわかってきました。
人の体は約60兆個の細胞から成り立ち、これらの細胞が活動するには酵素の助けがなくてはいけません。酵素は1秒に1万回以上は振動し、さらに細胞内の生化学反応の速度を百万倍~一兆倍も早くするそうです。この酵素を活性化するのがミネラルなのです。
私たちの体はいつもミネラルを欲しています。カラダ全体にとっては微量かもしれませんが、細胞一つ一つにとっては全ての機能をオンにさせる、とても重要なスイッチボタンなのです。タンパク質・脂質やビタミンばかりが注目されやすいですが、それらはまずミネラルありきなのです。また、ミネラルは溶けなくては効率よく利用できません。できるだけ溶けた状態にしイオン化させておくと吸収率が上がります。
現代は飽食時代のミネラル欠乏です。私たちの偏食の大きな原因は実はミネラル欠乏の証しといえることが多いのです。まずはミネラルを意識した栄養摂取を心がけると、その体調不良も改善するかもしれません。ミネラルをもう一度見直しましょう。
身体を構成する主成分タンパク質
ミネラルは、水とともに生命を支える重要な栄養素である。体内に存在するミネラルは、全体で体重の4.35%ほどのわずかな量であるが、重要な機能を持っている。ミネラルについて明確な定義はないが、栄養学においては有機物を形成する元素である炭素、酸素、水素、窒素を除く他のすべての元素がミネラルとされている。
人体を構成する主な元素は、約70種類。そのうち6種類が、ミネラルである。ミネラルは、過剰でも不足でも体は異常を起こす。特に必須ミネラル16種は、一つでも不足すると重大な障害が起きる。著しく不足すると、死を招くことすらある。
現代人は、ミネラル摂取量が常に不足気味
体内に存在するミネラルのうちとくに多く存在するカルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、イオウ、塩素、マグネシウムの7種を、主要ミネラルという。このうち、イオウと塩素以外のミネラルは、不足すると欠乏症が発生する。これら7種以外のミネラルを、微量ミネラルという。微量ミネラルのうち、不足すると欠乏症が発生するものは、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、モリブデン、コバルト、クロムである。不足すると障害が発生するこれらのミネラルが、必須ミネラルとされている。
ミネラルは元素であるため、体内で合成することができない。したがって、常に食物から摂取しなければならない。摂取基準については、厚生労働省の方針が明確ではなかったが、2005年に一応の「めやす」が策定されたがこれも暫定的であり、今後も変化していくであろうと思われる。
現代人は、ミネラル摂取量が常に不足気味だ。とくにカルシウムと鉄は、厚労省の調べによると、30年間にわたって毎年不足しているという結果が報告されている。亜鉛も不足気味だ。ナトリウムは、摂取過剰と言われている。しかし実際は、大半の人がナトリウム不足である。世界保健機関(WHO)では、推奨摂取量を1日6g以下とされている。これは日本の実情には合わないので、厚労省は1日摂取量を8~10gとしている。1万、カリウムやマグネシウムは、多くとるように推奨されている。
ミネラル摂取において重要なのは、質とバランス
人の身体は非常に複雑精妙であり、個人差が大きく、状況によって変動するものだ。それを一律に決めることはできない。ミネラル摂取において重要なのは、質とバランスである。良質でバランスのよい総合ミネラルを含む食物を主にとっていれば、体内でのバランスは保たれるものである。さらには、健康条件が良ければ、自らのホメオスターシス(恒常性)の機能が、自動的に微調整を行うことができる。
ホメオスターシスとは、人の体内環境を常に一定に保ち、生命活動を円滑に維持する機能である。ホメオスターシスのレベルは、健康レベルとイコールだ。つまり、生活条件を高め、マクロビオティックに基づいた食生活を実践していれば、ミネラルバランスは自然に保たれるのである。
ミネラルの供給源として、最も重要な食物は塩である
塩は、人体が必要とするすべてのミネラルを、バランスよく含んでいる。塩は地上の食物(植物)をとる場合、ミネラルバランスを保つために不可欠なものである。地上の植物に含まれるミネラルはアンバランスで、 とくにナトリウムが極端に不足している。そのために、塩を補わなければならない。
塩は、人体のミネラルバランスに近いものが適する。最もバランスがよいのは、海水を濃縮した塩である。海水中には有毒物質も含まれているが、長時間加熱することによって有毒物質は気化してミネラルだけが残る。直接口にする塩は、このようなミネラルのみの「焼塩」が最良である。
塩を多量に含む味噌、醤油、梅干なども、ミネラルの供給源として欠かせない。味噌・醤油は、ミネラルのほか、ビタミン、アミノ酸、酵素、その他有効成分を多量に含んでいる。優れた自然薬にもなる。胃腸の機能を高め、腸内有用菌の繁殖を促し、腸内環境を整える。血液を浄化して血流を促進する。肝臓、腎臓、心臓の機能を高め、血管を柔軟にして動脈硬化を防ぎ、血圧を安定させる。活性酸素を消去し、免疫力を高め、アレルギーや炎症を改善する。
良質な焼塩、味噌、醤油、梅干などを常にとることによって、ミネラルをバランスよくとることができる。
一般食物では、海藻がもっとも多量に含まれミネラルバランスがよい。海藻に含まれるミネラルは、種類によってそれぞれ成分比率が異なるので、いろいろなものを交互にとっていくのがよい。
ナトリウムとカリウム
ナトリウムとカリウムは、重要な役割を担っている。陰陽を決定する条件の中でも、大きな要素となっている。ナトリウムは陽性の元素の代表であり、カリウムは陰性元素の代表だ。ナトリウムとカリウムのバランスが整っていないと、身体は狂ってくる。
厚労省の推奨する量にしたがっていくと、ナトリウム不足、カリウム過剰になる。こうなると陰性の影響を受け、細胞レベルで拡張し臓器をはじめ体内器官はみな弛緩して機能が低下してくる。陰性過剰になると全身細胞は機能低下して、血液とリンパの循環が悪くなり、代謝が低下する。エスカレートすれば、病気にもなる。低血圧、冷え症、貧血、内臓下垂、心臓機能低下、腎臓機能低下、認知症、ガンなど、様々な病気を引き起こすことになる。
最近では、極端な減塩をして、生野菜や果物を多量にとる食事を実践する人が増加している。中には、そういう食事で体調がよくなる人がいる。しかし、それは一時的な現象であって、しばらくすると病的な状態になっていくことは間違いない。ナトリウム不足・カリウム過剰の典型だ。しばらく、ナトリウム不足の食事を続けると、身体は順応してくる人もいる。しかしそれも限界がある。きわめて危険である。
野生の動物は、ナトリウムの再吸収機能が高いので、塩分の補給は少なくても生きられる。人のナトリウム再吸収機能(腎臓)は、99%以上だが動物よりは低い。したがつて常にナトリウムを補っていかなければ、生きていくことはできない。ナトリウムが限界を超えて不足すると、心臓は収縮できなくなり停止する。
ナトリウムとカリウムは、連携して細胞内外の水分のバランスを保っている。細胞膜は、ナトリウムを細胞外に出し、カリウムを細胞内に入れるという機能をもつている。血液中にナトリウムが過剰になると、血管内の水分が増えて血圧が上がり、器官の細胞は機能低下する。カリウムが過剰になると、細胞内の水分が過剰になり、器官の細胞は低下する。どちらの場合も、身体がむくんで冷えてくる。
末梢神経の刺激信号を中枢に伝えるときには、ナトリウムとカリウムの細胞内外の移動が電位を発生させて伝達する。
カルシウムは、なくてはならない重要な存在
カルシウムは、神経系の信号の伝達に重要な働きをしている。神経細胞は、電気信号と伝達物質とが交互に作用して情報の伝達を行っている。神経細胞は、脳細胞をはじめ全身に分布して生命活動をコントロールしている。神経細胞の伝達がわずかでも狂うと、たちまち全身の機能が障害をおこす。精神状態にも、異常をきたす。
脳で発した信号が全身に伝えられ統制をはかるとともに、身体の各部からの膨大な信号は脳に伝えられ、全組織がコントロールされている。複雑精妙な人体が、滞りなく健全に機能できるのは、脳・神経系の統制機能が重要な役割をはたしている。したがつて、カルシウムは、なくてはならない重要な存在である。
神経細胞が、次々に他の神経細胞に情報を伝達していくとき、電気信号と伝達物質とが交互に伝えていく。脳細胞も自律神経も、信号伝達は同様に行われる。信号伝達物質は、アセチルコリンなどが神経細胞の末端で分泌されて伝達される。このとき、カルシウムイオンが神経細胞に侵入して、伝達物質の放出をにすことによって次の神経細胞に情報が伝わる。これが繰りかえされて、相互に情報がやりとりされている。カルシウムがわずかでも不足するとこの伝達が滞るため、精神と身体が同時に異変を起こすのである。
また、身体を動かすために活動する筋肉細胞は、カルシウムに支配されている。筋肉細胞が活動するためには、カルシウムイオンが細胞内に入リスイッチをオンにすると細胞が収縮をする。つまり、カルシウムの作用がなければ、身体は動かすこともできないのである。心臓や動脈が伸縮活動をくりかえして血液を循環させるためにも、カルシウムが作用している。胃腸や胆のう、膀胱なども筋肉細胞でできている。
カルシウムの99%は骨格中に存在し、他は歯、筋肉、血液中に含まれている。血液中のカルシウムはイオンの形で含まれ、多くの酵素の作用に関与して生命活動を円滑にする。また、免疫細胞の活動、体液のpHの調節など、多岐にわたる役割をはたしている。
以上のように、カルシウム、ナトリウム、カリウムの機能をみると重要な存在であることが理解できる。他のミネラルも、それぞれ重要な役割を担っている。すべてのミネラルをまんべんなく、バランスよく常に摂取することが必要である。
私たちの体にミネラルが不足していると、細胞の機能のスイッチがONにならず、多くの症状が出てきます。
細胞がきちんと働くにはミネラルが欠かせません。
そして、ビタミンの多くが正常に働くにはミネラルが必要であり、体内の酵素も、ホルモンも、エネルギー代謝も、細胞分裂も、解毒機構も、抗酸化作用もすべてこのミネラルが必要なのです。
ミネラルとビタミンの間には相互関係があったり、よく似た性質があったりします。
たとえば、セレンとビタミンEの作用はとても類似していることが多いです。どちらも抗炎症作用や抗酸化作用があります。
興味深いのは、ビタミンEだけでは特に大量投与でない限りほとんど抗炎症効果がないのに、セレンと組み合わせると抗炎症活性を大きく増大させます。また、ビタミンE欠乏による肝臓の変性壊死があっても、セレンの経口投与で予防できたという報告もあります。
亜鉛とビタミンCについても類似しています。
創傷の早期治癒にはビタミンCが古くから使用されていましたが、亜鉛にも大きな創傷治癒効果があることがわかっています。
さらにアルコールの解毒作用についても、ビタミンCと亜鉛はそれぞれ認められていますが、興味深いことは亜鉛は生体内のビタミンCの節約効果があったことです。
まさに亜鉛というミネラルがあって、ビタミンCの効果を増強させた結果、ビタミンC量を節約することができるのです。
亜鉛は他にもビタミンAと作用が重複しています。
それぞれの欠乏下で、症状が類似しています。有名な症状として、夜盲症、皮膚の角化、免疫不全、腫瘍発生の増加などです。やはりここでも興味深いのは、ビタミンA投与だけでは夜盲症の改善が遅く、亜鉛投与も兼ねて初めて改善がされたという点です。
まさにミネラルなくしてビタミン作用はない例です。
他にもマンガンとビタミンKの関係も同様であり、コバルトとビタミンB12の関係もある意味似ています。
これらはほんの一例ですが、ミネラルなくしてビタミンは作用しないのです。ミネラルを日々意識して摂取していきましょう。
人の体を元素にまで分解してみると、全体の約96%を炭素、窒素、酸素、水素の4つで占めています。残りの約4%には様々な元素が含まれています。
ミネラルとは、この4%に含まれる元素を総称したものを言います。そしてこの4%が、わずかな量にもかかわらず健康に大きな影響力を持ちます。
しかし、私達の食生活は、多くの加工食品や添加物、農薬などによって、摂取するミネラルは失われています。
ミネラル不足によって生活習慣病といわれる様々な病気が生じているのです。
文部科学技術省の食品成分分析調査によると、過去50年間における食物の鉄分減少率は、ほうれん草で約85%、トマト約96%、りんごは100%と、
大幅に減少していることがわかっています。
「1975~1990年の間に、キャベツ、にんじん、たまねぎなどの緑黄色野菜のミネラルの質は53%も落ちている」というのです。53%です。
1990年よりすでに25年以上経っています。
ますますミネラルの量は落ちていることでしょう・・・。
ミネラルの含有量が今日の食べ物において減少してきているということが、 現代病と言われるような多様な病気にかかる割合を増加させているのです。
70種以上の必須栄養素をきちんと補給することにより、人間の体はベストの状態に近づくことができます。
ベストな状態の体は強い免疫力もち、環境からくる害にも耐えやすくなります。
ミネラルが人体の健康にいかに重要であるかは主張するまでもないでしょうが、基本的なことを記載しておきます。ミネラルの主な働きは、ビタミンと同じく酵素の成分となって、体の化学反応を進めたり、情報の伝達に利用されることにあります。ミネラルは無機物であり元素そのものであって、体の5%はミネラルで出来ているそうです(ちなみに一番多い人体構成要素は水を除くとタンパク質、次が脂質です)。
必須ミネラルとしては諸説あるようですが、現在16種類が知られています。 体内のミネラルのうち、最も多いのは骨の主成分であるカルシウムとリンですが、これは骨に大部分が含まれるからです。カルシウムはカルシウムだけが働くのではなく、マグネシウムとの連鎖が重要になります。マグネシウムは人体では7番目に多いミネラルであり、その大半は心臓、腎臓、骨などに含まれています。
マグネシウムは神経系の鎮静作用、動脈硬化の防止、結石予防、クエン酸回路で働いてエネルギーを産生、ビタミンB群の補酵素などとして働きますが、最近はマグネシウムばっかり言う人がいますので要注意です。往々にしてマグネシウムを飲んでいる人は不健康になります。それは依存心も問題ですが栄養の真の意味をわかっていないからです。ミネラルとは単体でとるものではありません。
薬物や飲酒によりマグネシウムはカリウムなどと一緒に尿中に排泄されやすくなります。カリウムは人体に120g程度あるとされていますが、そのほとんどは細胞内にあります。逆にナトリウムは細胞外にあるのが基本です。カリウムは神経、心臓、筋肉に重要なミネラルであり、細胞外濃度が高まると心臓が停止するのもその裏返しです。カルシウムとマグネシウムが相互拮抗作用をするとすれば、カリウムはナトリウムと相互拮抗作用を示します。
これらは必須ミネラルの一種ですが、やはりマグネシウムとカリウムだけとればいいわけではありません。必須ミネラルを多めに摂取するのはいいのですが、それらの種も一つではダメであり、そこに数多くの微小ミネラルがちょっとずつ入ることで、真の意味でミネラルを摂取していることになります。現在の食材はほとんどミネラルがありませんので、栄養補助剤を調味料代わりに入れる人も多いようですね。
*NPO法人 薬害研究センター 理事長、Tokyo DD Clinic 院長、NPO法人 薬害研究センター 理事長
米、野菜、それに食肉や魚といった食材に、昔ほどのミネラルは期待できません。
そればかりでなく、調理の段階でもミネラルを失っています。しかも、火を使わないで、簡単な電子レンジでさらに食材の成分のタンパク質が変化して、人体に悪いものになっています。お腹が満たされるだけです。
もともと少量しか含まれていないミネラルを、加工の段階でさらに少なくしてしまっているのです。調理の段階でミネラルを奪う元凶は水です。
食材を洗い、煮込み、茹でる際に使用する水道水にも大きな問題があるのです。
たとえば、米を例に取りましょう。ご飯を炊く前に、米を研がない家庭はないでしょう。少なくても3回くらいは研ぐはずです。
この3回研ぎで多くのミネラルが奪われてしまいます。
ある調査では、カリウム50%、マグネシウム53%、リン50%、鉄54%、マンガン33%、カルシウム23%、亜鉛10%がそれぞれ失われるとされています。
これだけのミネラルが失われる理由は、水に含まれる塩素です。塩素がミネラルを酸化してしまうのです。
米だけではありません。魚や野菜を煮たり、茹でたりする際にも、塩素を含んだ水道水は使われます。ミネラルを酸化してしまう水で食材を洗い、さらに調理にも使います。
鍋のなかの魚や野菜は、すでにミネラルの少ない材料です。
その少ないミネラルしか持たない材料を酸化力の強い水道水で調理することで、
私達はさらにミネラルを減らしているのです。
もう十分にお分かりだと思いますが、私達の食事は材料からしてミネラル不足であるうえ、おいしく食べるためにミネラルが減るような手を加えています。
その結果、私達の体は慢性的なミネラル不足に陥っているのです。
先に、ミネラルの持つ素材機能と複合補助機能の二つの大切な機能を紹介しましたが、それぞれのミネラルが主に担当する機能があります。
いわば「主役としての顔」です。
ここでは主なミネラルの顔について紹介いたしましょう。
「カルシウム」
カルシウムと言うとすぐに骨が思い浮かびますが、血液をアルカリ性に保っておく重要な役割を担っています。
体内の99%のカルシウムは骨や歯をつくる材料になっていますが、残りの1%の半分が血液や神経、筋肉、臓器のなかにタンパク質と結合した形で存在し、半分はカルシウム・イオンとして存在しています。
筋肉はカルシウムがあって初めて収縮できるので、カルシウムが不足すると心臓の筋肉の収縮力が低下します。また、カルシウムは神経細胞の働きとも密接な関係があり、カルシウムが不足するとイライラしたり、興奮するのはそのためです。
「ナトリウムとカリウム」
ナトリウムは悪役のように言われますが、体液の量を調節したり、筋肉や神経の働きをスムーズに保つ働きをしています。
また、カリウムは筋肉を動かすためのエネルギーを作り出し、
カリウムの不足は無気力、食欲不振などの症状に結びつきます。そして、ナトリウムとカリウムは、体液の濃度バランスを協力して保つ重要な働きをしています。
「リン」
リンはカルシウムと結びついてリン酸カルシウムとなり、骨をつくります。また、エネルギーを生み出すために働いたり、
遺伝子本体や遺伝情報を伝えるDNAやRNAの成分にもなっています。さらに、体内の酸とアルカリのバランスを取る働きもあります。
「鉄」
体内の鉄の約65%は、赤血球のヘモグロビンの成分になっています。ヘモグロビンは肺で酸素と結びつき、体をめぐって酸素を各細胞に供給します。私達が生きていられるのは、このヘモグロビンによる酸素供給があるからです。
「銅」
銅は、ヘモグロビンの合成に欠かせないミネラルです。
したがって、銅の不足は血液中のヘモグロビンを減少させ、貧血を招く原因となります。また、銅は老化防止や健康維持にも重要な働きをします。
私達の体のなかで発生する活性酸素は老化を早めたり病気の様々な原因になりましたが、その活性酸素を分解する酵素がSODでした。SODは亜鉛と銅を含んでおり銅の欠乏は老化防止や健康維持に重要なSOD不足につながるからです。
「セレニウム」
セレニウムはビタミンEの働きを助け、体内に過酸化脂質をつくらせない抗酸化作用があります。
過酸化脂質が体内に増えると、血管の内側の膜をつくっている細胞が破壊され、そこから悪玉コレステロールが血管に侵入し、やがて動脈硬化に至ります。また、過酸化脂質は血管をつまらせる血栓の元にもなります。
最近では、セレニウムの持つ制ガン作用に大きな注目が集まっています。
これらのミネラルはバランスよく取ることが重要です。
バランスの偏った取り方を続けると害になる場合も生じてきますので、その点は十分に留意しなければなりません。
私たち動植物のカラダは日々酸化ストレスと戦っており、特に現代人の生活にはこの酸化ストレスが多く迫ってきています。
この酸化ストレスを抑える働きにもミネラルは大きく貢献します。体内で発生した活性酸素を消去する抗酸化酵素が私たちのカラダには備わっていますが、これらすべてがミネラルに依存しています。
活性酸素のひとつであるスーパーオキシドには、体内で産生されるSODという抗酸化酵素が作用します。そして、このSODにはマンガン(Mn)、銅(Cu)・亜鉛(Zn)にそれぞれ依存した種類があります。Cu,Zn-SOD酵素は主に細胞質に分布しており、ほぼすべての細胞に発現しますが、特に肝臓・腎臓・赤血球に多く存在します。Mn-SOD酵素はミトコンドリアのマトリックスに局在しており、生命維持に必須であり、仮に欠損すると死亡します。
スーパーオキシドがSOD酵素により消去されると、過酸化水素に変換されます。過酸化水素はやはり活性酸素の一種であり、酸化力は弱いものの、鉄や銅などの金属イオンと反応してヒドロキシラジカルを生成してしまいます。そのため体内にはこの過酸化水素を消去する酵素があります。その酵素とはカタラーゼであり、カタラーゼは補因子にヘムをもつため、鉄に強く依存します。マンガンも必要です。
細胞内で脂質過酸化が起きても、その連鎖反応を最終的にストップさせることができるのはグルタチオンという酵素のおかげなのですが、これを触媒するのがグルタチオンペルオキシダーゼです。グルタチオンペルオキシダーゼはセレンに依存した酵素です。過酸化水素の分解にも貢献します。
夏場は紫外線による皮膚での酸化ストレスが頻繁に起きますが、この活性酸素の誘導でメラニン細胞が発生します。メラニン細胞そのものは紫外線から体を守る大切な働きがあり、このメラニンを産生するチロシナーゼという酵素は銅に依存します。
さらに、最近では皮膚の酸化ストレスでメタロチオネインというタンパク質が誘導されることがわかっています。メタロチオネインは重金属に結合する解毒たんぱくとして有名ですが、抗酸化作用もあることがわかり、このメタロチオネインは特に亜鉛(や銅)で誘導されます。
以上のように、酸化ストレスから防御する仕組みはミネラルがそろった上で働きます。飽食時代のミネラル欠乏は、摂取不足や吸収阻害などが原因で起きています。ミネラルを日頃から意識して摂取したいものです。
人間の体の構造について説明します。簡単に言うと、人間はミネラルで出来ているのですが、これは人間だけではありません。
人も地球も宇宙全体も、全てミネラルという成分で出来ているのです。
それでは、少し長くなりますが とても重要なことですので、宇宙から人間が発生した成り立ちについて説明します。
今から137億年前にビッグバンという大爆発で宇宙が誕生し、同時に この世を構成する最小単位である素粒子が生まれ、四方八方に飛び散りました。
それから30万年ほど経って、最初のミネラルである水素が生まれました。
水素は互いに引きつけ合ってヘリウムや、さらに重いミネラルがどんどん誕生していきました。
こうして宇宙が誕生してから約91億年も経った頃、今からおよそ46億年前に地球が誕生しました。
地球が生まれて直ぐの頃、原始の地球にティアという原始惑星が衝突し、そのときの衝突で太陽の殺人光線を防ぐ電磁波の膜が出来ました。
同時に月が誕生し、月の引力によって地球の自転は、それまでの1日4時間から1日24時間へと遅くなっていきます。
この2つの出来事は地球に生命を誕生させる大きな要因となりました。
およそ40億年前にミネラル同士が非常に複雑にくっつき合って、最初の有機物であるアミノ酸が生まれます。
その後 約38億年前に、この有機物が更に他のミネラルと複雑な結合を繰り返して、最初の生命体である私たちのご先祖様が誕生したのです。
その頃、地球の大気には まだ酸素はなく、窒素や炭酸ガスが中心でした。当時のご先祖様は酸素がない状態で生きていました。
これを嫌気性生命体と言いますが、酸素を使わない生命は酸化して腐ることがないので、不老不死であったと考えられています。
そして32億年くらい前に、ご先祖様から枝分かれした生命体である植物の先祖が、大気中に酸素を吐き出し始めました。
そのため20億年くらい前には、酸素の大量発生という大問題が起きます。
これに困った ご先祖様は、当時すでに生まれていた酸素をエサとして活動する好気性生命体と合体する道を選びました。
この合体した好気性生命体が、現在私たちの細胞の中にたくさん存在するミトコンドリアであると考えられています。
このときから ご先祖様は酸素を使った爆発的なパワーのおかげで、素早く動くことが出来るようになりました。
ただし、その代償である酸素の害によって、老化して死ぬようになったのです。
さて、ご先祖様は その後どんどん枝分かれを繰り返し、5億年ほど前に海から陸へと上がりました。
私たちのご先祖様が海から来たと言われています。
ただし現在の海水は、生物が海から陸に上がった当時と比べて3.5倍ほど濃度が濃くなっているようです。
そして、細胞の中のミネラル成分は、体液とはまるで異なっており、カリウム、リン、マグネシウム、タンパク質中心であることに注目してください。
その後、アフリカの森で暮らしていた ご先祖様は森から出て、草原を歩き始めました。
人類は約700万年前にチンパンジーと枝分かれして、猿人、原人などを経て、現在の人類となりました。
原生人類はおよそ14万年前にアフリカで誕生したと考えられています。
この頃まで、人類は飢えをしのぐために野草を絶えず食べていて、そのため人間はビタミンCを体内で合成できなくなったと考えられています。
日本列島には約3~4万年前から、私たち日本人のご先祖様が住み始めました。
日本で農耕が始まったのは約6000年前の縄文時代で、農耕は東南アジアを経由して南方から伝わったとされています。
そして、これまでの定説とは逆に、農耕は日本から朝鮮半島に伝えられたことが分かっており、その時期は今から約3000年前と考えられています。
縄文時代の食事は、小動物や たまに大型動物、魚介類、野菜、昆虫、木の実などを食べる狩猟・採取生活でした。
生命体はほとんど有機物という物質で出来ています。有機物とは、炭素というミネラルを含む物質のことです。
たとえば、人間の体の大部分を占める水(H₂O)は、水素と酸素だけで出来ていて、炭素を含まないので有機物ではありません。
人間の体には、酸素(O)が65%、炭素(C)が18%、水素(H)が10%、窒素(N)が3%あります。
人間は96%を占めるこの主要な4つのミネラルと、残り4%を占める100種類以上ものミネラルとで構成されています。
そして、この主要な4つのミネラルがいろいろな形に組み合わされてタンパク質、ビタミン、脂質、炭水化物という有機物や水を形づくっています。
人間の体内は これらの有機物と、有機物と協力して働く100種類近くのミネラルとで生活活動を行なっているのです。
ところで、水は非常に不思議な物質で、いろいろなミネラルやミネラル化合物を溶かし込んでいて、様々な活動を行なう生命活動の場となっています。
地球に水という舞台が無かったら、生命は誕生しなかったと言われています。
そして、水にミネラルが溶けていなければ、やはり生命は誕生しませんし、何の活動も行われません。
水は単なる舞台なので、純粋なH₂Oでは電気は流れません。水の中で電気を流しているのは、水の中に溶けている様々なミネラルなのです。
ミネラルが全く溶けていない純粋な水を一定期間飲み続けると、体の中のミネラルバランスが狂って、人は健康を害します。
つまり人体が欲しているのは、ただの水ではなく様々なミネラルが溶けている水なのです。人は純水では生きていけないのです。
こうして見ると、全てを作っているミネラルという物質が、如何に重要な物質かが良く分かります。
このようにミネラル、特に量が測れない微量ミネラルの摂取は非常に重要なので、日常的なミネラルの補給を推奨します。
ビタミン・ミネラル・タンパク質は、脂質や糖質などエネルギー源となる栄養素とは違って、生体の調整機能を行なっているため、足りなくなると様々な欠乏症状が出てきます。
ただし、欠乏症は直ぐに分かりやすい形では現れてきません。では、どんな形で現れるのでしょう。
ここでは、タンパク質・ビタミン・ミネラルが体内で不足すると たどる経過について簡単に説明します。
まず、分かりやすい例を挙げて説明します。
一般の人の健康なボランティアに協力してもらって、栄養素欠乏を人為的に引き起こすとどうなるのか、実験をしてみました。
健康上なんの問題もないボランティアスタッフに、「すべての栄養素を含むが、ビタミンB₁ だけ大幅に不足する食事」を与えたらどうなるか、実験しました。
すると、数日で無気力になり、憂うつになり、食欲不振になり、疲労感を訴え始めました。
1ヶ月後には心臓や胃に変調をきたし、不眠症状を訴え、便秘となり、手足がしびれ、頭の回転がにぶり、集中力が低下しました。
そして、5ヶ月後には心電図が乱れ、胃酸の分泌が停止するなど、病的症状が発現しました。
これは、ビタミンB₁ の例ですが、ビタミンだけでなく、タンパク質でもミネラルでも同様です。
重要な機能調節の栄養素の不足が起こると、最初は分かりにくくても、だんだんと変調や自覚症状を感じ、最終的には機能不全や病変を起こすという変化が現れます。
不足の段階について経緯を箇条書きにしてみます。
(1)第一段階(潜在的栄養欠乏の一段階目)
栄養素不足の初期は、体に貯(たくわ)えられているビタミン・ミネラル・タンパク質が徐々に失われ、血液中や尿中排泄の栄養素量の減少がみられます。
※栄養素の備蓄量や排泄量には個人差があるため、この段階では本人の定期的な検査値の変動でしか異変の発見は難しいです。
そのため、できれば定期的な栄養検査を推奨します。
(2)第二段階(潜在的栄養欠乏の二段階目=新型栄養失調)
体内の栄養素がある程度以下になると、栄養素の協力で遂行している体内の代謝反応に異常が起きてきます。
要するに、免疫力や酵素活性など体内機能の指標が低下してくるのです。
※この段階では、一般的な検査数値の下限値付近や異常域を示す可能性もありますが、やはり個人差があるので、単発の検査では発見できない可能性があります。
この段階で栄養欠乏を発見するためには、やはり定期的な栄養検査を推奨します。
(3)第三段階(顕在的栄養欠乏=新型栄養失調)
体内の代謝異常が始まり、エネルギー生産の低下などビタミン・ミネラル・タンパク質が関わる様々な生理的反応が乱れてきます。
「疲れる・憂うつ・食欲がない・眠気・不眠」などの体調変化として現れてきますが、栄養素の不足で起こっているとは理解されにくいです。
また、医者に行くほどではないと判断される程度の変調のため、発見されにくいのです。
※この段階では、一般的な検査数値では ほぼ異常値を示すので、医師も何らかの異変が起こっていることは分かります。
ただ、栄養医学を学んでいない医師の場合、栄養欠乏症状だとは気づきにくい可能性があります。
また個人差により、この段階でも稀に単発の検査では発見できない可能性もあります。
発見を早めるためにも、定期的な栄養検査を推奨します。
(4)第四段階(明らかな栄養欠乏=欠乏症)
この段階になると、明らかな栄養欠乏症状で特徴のある欠乏症(鳥目、壊血病、脚気、くる病など)が現れ始めます。
(5)第五段階(各臓器などの疾病)
この段階でビタミン・ミネラル・タンパク質の補給がなされないと、臓器や組織に病的変化が現れます。
その結果、生命の危険が起きてきます。
尚、新型栄養失調とはビタミン・ミネラル・タンパク質の不足のことです。その原因は、ほとんどが偏食という食習慣です。
特に、肉や魚と卵と乳製品はビタミン・ミネラル・タンパク質が豊富なため、これらの食品を嫌って あまり食べないと、新型栄養失調になりやすくなります。
ミネラル不足型の新型栄養失調については、小若(こわか)順一氏・国光美佳氏・NPO法人「食品と暮らしの安全基金」の共著『食事でかかる新型栄養失調』(三五館)にミネラル不足の実態が詳しく書かれています。
コンビニ弁当やファーストフード、ファミリーレストランなど、外食や中食で長期間粗食を食べていると様々な健康障害を起こしやすくなります。
また、タンパク質不足型の新型栄養失調は、NHKテレビの「ためしてガッテン」でも特集されたので、ご存じの方も多いと思いますが、血中を流れるアルブミンというタンパク質が少ない状態を言います。
これも肉や魚と卵の摂取不足が大きな原因のひとつです。
ところで、新型栄養失調と昔の栄養失調とは違います。
栄養失調は、エネルギーとなる脂肪・炭水化物の不足のことを言い、現在では ほとんどかかる人はいません。
一方、新型栄養失調は、ビタミン・ミネラル・タンパク質の潜在的・顕在的栄養欠乏症で、現在、非常に多くの人が罹(かか)っていると考えられています。
そのまま放っておくと、更に新型栄養失調が進み、栄養欠乏症から臓器疾患となり、最終的には死にいたるので注意が必要です。
5大栄養素の中の無機質ミネラル。
微量ですが、健康を維持するためには欠かせません。
ミネラルの量の少なさを考えるとき、僕たちのカラダのデリケートさ加減がよく理解できます。 こんなに微量で僕たちの健康は左右される。
だから、ほんのすこしの毒が入っただけで、不調や病気になるんですね。
食品添加物を年間40kgも食べている僕たちに、アレルギーやアトピーや花粉症やうつ病などが増えるのも当たり前ですね。
現代の食事では、そのミネラルが不足しているそうです。
その原因は様々ですが、食品添加物がミネラルの吸収を邪魔することも分かっています。
ふだんの食生活では炭水化物、タンパク質、脂肪分、そしてビタミンまでは意識していますが、ミネラルは馴染みが薄いです。
中々、分かりにくい栄養素ですが、大変重要な役割をするので、少しずつ勉強したいものです。
ミネラル(無機質)には、カルシウム、鉄、ナトリウムなどがあります。
必要な量は少ないのですが、人の体の中では作ることができないので、食べ物からとる必要があります。
ミネラルは、骨などの体の組織を構成したり、体の調子を整えたりする働きがあります。
地球上に存在する元素のうち、水素、炭素、窒素、酸素を除いたものをミネラルといいます。
およそ100種類ある元素の中で、人の体の中に存在し、栄養素として欠かせないことがわかっているミネラ