統合医療とは、現代西洋医学とそれ以外の東洋医学や代替医療を個々の患者に合わせて統合的に扱う医療のことです。
これまでの医学のように、患者の心身の状態を可能な限り正確に診断することが前提ですが、それだけではなく、その人がどのような健康観や人生観をもち、どのような治療を望んでいるか、または望んでいないかを的確につかみ、且つ個々に最適な医療を提供することが、統合医療のあるべき姿です。
そのためには、医療従事者がホリスティックな健康観をもち、代替医療についての一定の見識をもっておくことが必要不可欠です。
●ホリスティックな健康観とは
ホリスティックな健康観とは、
・「病気でない状態が健康である」という否定的な定義や
・「血液や尿や細胞組織の検査結果が正常範囲であれば健康である」という消極的な定義
ではなく、
「精神、身体、環境がほどよく調和し、与えられている条件において、
最良の生活の質(Q.O.L Quality of Life)を得ている状態」を健康と考えます。
このような考えは、1,970年代に米国で提唱され、80年代に日本にも導入されました。
1,987年になって、日本のホリスティックな健康を志向する医師、歯科医師、鍼灸師、その他の医療関係者、各分野の研究者、一般市民によって、日本ホリスティック医学協会が発足したのです。
日本ホリスティック医学協会では、ホリスティック医学を次のように定義しています。 http://www.holistic-medicine.or.jp/
■ホリスティック医学とは
1. ホリスティック(全的)な健康観に立脚する
人間を「体・心・気・霊性」等の有機的総合体ととらえ、社会・自然・宇宙との調和に基づく包括的、全体的な健康観に立脚する
2. 自然治癒力を癒しの原点におく
生命が本来、自らのものとしてもっている「自然治癒力」を癒しの原点におき、この自然治癒力を高め、増強することを治療の基本とする
3. 患者自らが癒し、治療者は援助する
病気を癒す中心は患者であり、治療者はあくまでも援助者である。
治療よりも養生、他者療法よりも自己療法、が基本であり、ライフスタイルを改善して患者自身が「自ら癒す」姿勢が治療の基本となる
4. 様々な治療法を選択・統合し、最も適切な治療を行う
西洋医学の利点を生かしながら、中国医学やインド医学など各国の伝統医学、心理療法、自然療法、栄養療法、手技療法、運動療法などの
各種代替療法を総合的、体系的に選択・統合し、最も適切な治療を行う
5. 病の深い意味に気づき自己実現を目指す
病気や障害、老い、死といったものを単に否定的にとらえるのではなく、むしろその深い意味に気づき、生と死のプロセスの中で、
より深い充足感のある自己実現を目指していく
超健康のキー、 健全な菜食主義の指針
■健全菜食主義の指針
1. 加工食品、インスタント食品を出来るだけ減らす
2. 脂肪、油を出来るだけ減らす(オメガ3を摂る)
3. 肉、乳製品、卵を摂らないか、ごく少量にする
4. 砂糖をごく少量にする。白砂糖を摂らない
5. 主食を精製度の低い穀類にする。雑穀を加える
6.豆類を摂る。種子、ナッツを摂る
7.野菜をたっぷり摂る。果物を摂る。海藻を摂る
8. 魚貝類を少量摂る
9.発酵食品を常に摂る
10.食材、調味料は新鮮なものを使う
● 1~4 は健康にマイナスをもたらす食品、排除すべき食品
● 5~10 は健康にプラスとなる食品、積極的に摂りたい食品
1. 加工食品、インスタント食品を出来るだけ減らす
加工食品、インスタント食品、ファーストフードなどの手軽な食品を出来るだけ減らすのは、それらに含まれる大量の食品ケミカルを取り込まないようにするためです。
加工食品の多食による食品添加物の複合毒性は、軽視出来ません。
添加物の中には使用制限のあるものが含まれていますが、これは摂り過ぎると危険であることを意味しています。
かなりの添加物の中には発ガン性があり、アレルギーの原因物質となることが指摘されています。
また、”ジャンクフード”とも呼ばれるファーストフードには、砂糖、塩などの調味料が沢山使われています。
安い材料と大量の油を使ってメリハリのある味に仕上げるためには、
・砂糖、塩、コショウ、ケチャップ、マスタード などは欠かせません。
高脂肪で刺激の強い味付けの食べ物は、コーラなどの清涼飲料と相性がピッタリです。
(ジャンクフードとは”ガラクタ食品”という意味で、ハンバーガー、フライドチキン、コーラなどがその代表です)
さらに加工食品、ファーストフードなどには、当然のことながら必要な栄養素は不足しています。
こうした不健全な食品を日常的に摂っている現代人の栄養不足は深刻です。
その上含まれる有害物質を解毒するために、ただでさえ乏しい栄養素が消耗されることになります。
2. 脂肪、油を出来るだけ減らす(オメガ3を摂る)
動物性脂肪を減らすためには、肉や肉加工品、牛乳や乳製品を摂らない様にします。
植物性油の害を避けるためには、
・フライ、天ぷら などの揚げ物料理を摂らない様にしたり、
・市販のマヨネーズ、ドレッシング、マーガリン などをやめなければなりません。
そして炒め物などの加熱調理には、酸化し難いオリーブ油(オメガ9)を使い、ドレッシングなどの生食用には、亜麻仁油(オメガ3)を使います。
台所にはこの二種類の油だけを常備し、高リノール酸油(オメガ6)を排除することです。
まず脂肪、油の摂り方を変えなければ、食生活の改善は始まりません。
3. 肉、乳製品、卵を摂らないか、ごく少量にする
高タンパク、高脂肪食品の摂り過ぎは体に大きな負担をかけ、腸内環境を悪化させて現代病の引き金となります。
肉、牛乳、卵といった高タンパク食品を食べなくとも、体が必要とするタンパク質は十分摂取することが出来ます。
豆や穀類などの植物性食品には、必須アミノ酸のどれかが欠けているものが多いのですが、何種類かを食べ合わせることで、完全なアミノ酸摂取が出来るようになります。
穀類と豆を一緒に摂ったり、麦やキビなどの雑穀を加えたり、さらに魚介類を補うことで必要なタンパク質を満たすことが出来るのです。
4. 砂糖をごく少量にする。白砂糖は摂らない
砂糖の大量摂取が、心と体の様々なトラブルの原因になっています。
糖分は、穀類・豆類・芋・果物など、殆どの植物性食品に含まれています。
それらを上手に組み合わせて摂れば、不足するようなことはありません。
どうしても”甘いもの”が欲しいという人は、精製されていない自然な糖類を少しだけ摂ることを勧めます。
「空のカロリー食品」である白砂糖を避け、少量の
・メープルシロップ、ハチミツ、黒砂糖 などを使います。
大量の白砂糖を使った
・ジュース、清涼飲料、缶コーヒー、甘いお菓子、チョコレート、加工食品 などは、出来る限り控えなければなりません。
5. 主食を精製度の低い穀類にする。雑穀を加える
主食は、
・五分づき米、三分づき米、玄米 など精製度の低い米を中心に、
・大麦やキビ、アワ、ハト麦 などの雑穀を組み合わせます。
穀類に含まれる栄養素の約70%はデンプンですが、その他に種々の栄養素がバランスよく含まれています。
玄米にはデンプンの他に、
・タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラル、食物繊維、植物栄養素 など何十種類もの栄養素がありますが、その殆どは外皮やぬか層、胚芽に含まれています。
そのため精製して白米にしてしまうと、デンプン以外の栄養素は極端に減少することになります。
ビタミン、ミネラル、食物繊維などの60~80%、バイオフラボノイドなどの植物栄養素は略完全に失われてしまいます。
ですから白米を主食にしていては、必要な栄養素を満たすことは極めて難しくなるのです。
麦や雑穀には、
・ビタミン、ミネラルなどの微量栄養素や食物繊維 が多く含まれています。
特に、
・キビ、アワ、ヒエ、ハト麦、アマランス などの雑穀はミネラルの宝庫です。
食事改善が成功するかどうかは、『いかに主食の質を高めるか』という点にかかっています。
精製度の低い米に雑穀を加えることで、必須栄養素が強化され、理想的な主食を作ることが出来ます。
同じ穀類であっても、米にない栄養素が麦に、麦にない栄養素がキビにあるというように、栄養の組成は夫々異なっています。
そのため米に多種類の雑穀を組み合わせることで、「生命の鎖」をつなぐ主食になるのです。
6. 豆類を摂る。種子・ナッツ類を摂る
各国の伝統的な食事に共通するのは穀類と豆の組合せで、それによって必要なタンパク質を摂ってきました。
我が国の伝統食では、米と大豆の組合せが食事の核になっていました。
栄養学的に見ると、穀類には、豆に不足している必須アミノ酸のメチオニンやシスチンが豊富に含まれています。
逆に豆には、穀類に不足しているリジンが比較的多く含まれています。
そのため穀類と豆類を食べ合わせるとバランスのよいアミノ酸摂取が出来、肉など動物性食品への欲求がなくなります。
(穀類と豆の組合せによってアミノ酸は補給できますが、さらに日本食には魚が加わるのですから、肉を摂る必要性など全くありません)
肉は高脂肪・低食物繊維の栄養バランスの悪い食品です。
一方”畑の肉”と言われる豆は、タンパク質や脂肪の他に、
・ビタミン、ミネラル、食物繊維、植物栄養素 を豊富に含む優れた食品です。
伝統的な日本食が無理なく低脂肪・高食物繊維のパターンを守れるのも、大豆製品を沢山摂取してきたからです。
食事改善に当っては、「豆を主食の中に組み込む」ことが大切です。
アミノ酸は一度に大量に摂っても、体内でキープしておくことは出来ませんから、毎回の食事から摂取する必要があります。
穀類に加えて、
・大豆、黒豆、小豆、金時豆、インゲン、納豆、湯葉、高野豆腐 などの豆類、豆製品を上手にとり入れることで、
・低脂肪、高食物繊維、適正カロリー の理想的な食事の核が出来上がります。
(豆類は高タンパク食品の中では最も脂肪の少ない食品です。タンパク質摂取を肉に頼れば、否応なく脂肪を取り込むことになります)
・ゴマやクルミ、アーモンド、松の実、クコの実などの種子、ナッツ類には、良質の脂肪の他に、
・タンパク質、ビタミン、ミネラルなどがバランスよく含まれています。
特にゴマには、
・カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル
・ビタミンB1、ビタミンE
・強い抗酸化力を持つセサミン などが豊富に含まれています。 ゴマは毎日摂りたい食品です。
アーモンドは、約54%が脂肪がという高脂肪食品ですが、含まれる脂肪の約67%はオメガ9(オレイン酸)が占めています。
アーモンドには、
・カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄 などのミネラルが多量に含まれ、ビタミンEの多さは群を抜いています。
(アーモンドはヘルシーなおやつですが、アレルギーの人には注意が必要です。ピーナッツも同様です)
7.野菜をたっぷり摂る。果物を摂る。海藻を摂る
食事改善の二つ目の重要ポイントとして「野菜をたっぷり摂る」ことが挙げられます。
野菜は肉や魚の添え物ではなく、副食(おかず)の中心におくべきです。
野菜料理を、毎日毎食のメインディッシュにします。
(食事改善を成功させるための二つの重要ポイントは、
・主食の質を高める
・野菜を副食の中心におく ということです。)
野菜にはカロリー栄養素は少なく、
・カロテノイド、ビタミンC、葉酸などをはじめとするビタミン類
・カルシウム、カリウム、鉄などのミネラル類
・食物繊維 など多種類の栄養素が含まれています。
また、
・免疫強化、制ガン、抗酸化、解毒作用を持つ様々な植物栄養素 も豊富に含まれています。
生野菜や種々のモヤシは、ビタミン、ミネラルだけでなく、酵素の優れた補給源となっています。
イモ類には、炭水化物以外に、
・ビタミンやカリウムなどのミネラル、食物繊維 が多く含まれており、副食としてだけでなく、軽い主食やおやつとして優れた食品です。
長芋や自然薯などの山芋は、酵素が豊富で消化のよい日本特有の薬効食です。
さらにシイタケなどのキノコ類は、極めて低カロリーでビタミンや食物繊維を含み、免疫を高める働きもあります。
野菜料理のバリエーションを増やすことが、食事改善の決め手です。
季節の野菜、旬の野菜を中心に、多種類の野菜を摂ります。
「葉、茎、根、花、実」、色で言えば「緑黄色野菜」「淡色野菜」です。
果物は、
・ビタミン、ミネラル、食物繊維、酵素 の補給源として健康維持には欠かせない食品であり、植物栄養素も多く含まれています。
だからと言って、果物を主食並みに食べたり、主食の摂取量を減らすほど食べるべきではありません。
・ワカメ、昆布、ヒジキ、のり などの海藻類は、ヨードの貴重な補給源です。
また海藻には、
・ビタミン、ミネラル、食物繊維 だけでなく、
・タンパク質 も多く含まれます。
海藻は”海の野菜”と言われますが、たっぷりの野菜と合わせて毎日摂ることで、健康が保たれます。
8.魚貝類を少量摂る
魚はタンパク源であるだけでなく、オメガ3(EPA・DHA)を豊富に含む必須の食品です。
穀類、豆に魚が加わることで、より完全なタンパク質の摂取が出来るようになります。
魚に含まれるEPAが、血液をサラサラにしてくれます。
「刺身」は、魚の価値を最高に生かす食べ方です。
良質の脂肪を酸化させることなく摂れる刺身は、日本民族が生み出した世界に誇る食文化と言えます。
魚にはビタミン類も多く含まれています。
また骨や殻ごと食べられる小魚やエビ、貝類などは優れたミネラル源でもあります。
一つまみのチリメン雑魚は毎日摂りたい食品です。
但し、魚はあくまでも動物性食品ですから、豆や野菜をしっかり摂った上で少量加えるべきものです。
「メインディッシュは野菜」という原則を崩さないようにしなければなりません。
9.発酵食品を常に摂る
味噌や、味噌を使った料理、漬物、納豆などの「発酵食品」は、食事の度に摂りたい食品です。
発酵食品は、
・アミノ酸、ビタミン、ミネラル、酵素 などの理想的な供給源です。
なかでも味噌は最高の健康食品で、それに含まれている酵母は、腸内に住みついている乳酸菌、ビフィズス菌の増殖を促し、腸内環境を整えてくれます。
味噌汁は最高の伝統的な日本食で、毎日の食事に欠かすことの出来ない一品です。
日本人にとって、味噌や醤油は世界に誇る食品です。
日本各地で魚の保存食として発達してきた熟れ寿司やカツオ節、また夏バテ予防に飲まれてきた甘酒なども優れた発酵食品です。
ぬか漬けに代表される漬物も同様です。
乳酸菌、酵母の発酵によって特有の風味が生まれ、乳酸菌の一部が腸まで届いて有益菌の働きを助けます。
味噌漬け、塩漬け、麹漬けなども利用したい食品です。
納豆は、納豆菌の出すタンパク質分解酵素によって、含まれるタンパク質がすでにアミノ酸に分解されている、とても吸収のよいタンパク源です。
納豆を食べると体内のビタミンKが増加して骨の代謝がスムーズになり、骨粗鬆症の予防と治療に効果のあることが明らかにされています。
さらに納豆には、納豆菌がつくった豊富な消化酵素が含まれています。
また、ナットウキナーゼという酵素が血栓を防ぐ強力な働きをすることも解っています。
納豆も、毎日必ず摂りたい食品です。
世界の”伝統食”には、様々なスタイルの「発酵食品」がありますが、それは、夫々の風土の中で生まれた民族の健康を守る知恵なのです。
発酵食品なくして健康は保たれません。
発酵食品に含まれる乳酸などの有機酸が腸の状態を整え、有益菌を増やして腸内環境を守ります。
さらに発酵食品によって、大量の酵素が摂取出来るようになります。
発酵食品は、微生物のつくった最もエコロジカル的食品と言えます。
10.食材、調味料は自然で新鮮なものを使う
食材は、出来るだけ自然で新鮮なものを使います。
野菜で言えば季節のもの、旬のもの、そして手に入るならば有機無農薬栽培のものを用います。
季節の食品は味もよく、栄養価も高いうえに安価です。
有機栽培のものならば、なおさら味も栄養価も優れています。
魚も薬漬けの養殖魚は避けたいですが、外観からは見分けがつきません。しかし旬の安い魚なら、その心配はありません。
農産物も海産物も季節のもの、新鮮なものが一番です。
調味料は最も頻繁に摂る食品ですから、出来るだけ自然なもの、伝統的製法のものを用います。
食品ケミカルなどの添加物を使わず、じっくりと時間をかけてつくられた調味料は、味も香りもよく、素材の旨味を引き立てます。
少々たかくついても、吟味したものを使うべきです。