『三大毒』と呼ぶ「小麦粉・砂糖・トランス脂肪酸」の一つ『トランス脂肪酸』
トランス脂肪は今、海外では最も危険視されている脂肪酸です。
アメリカでは全面禁止に踏み切ろうとしていますが、日本人でそれに気付いているひとまだまだはわずかなようです。
トランス脂肪酸は、糖類とともに、糖尿病、高血圧、コレステロール疾患、心臓血管の病気、癌、リウマチ性関節炎、カンジタ症、アレルギー、うつ、慢性疲労などあらゆるものに関与するとされています。
みなさんがご存じのマーガリンと呼ばれる物質は部分水素添加植物油で作られたバターの模造品、つまりトランス脂肪酸の一種です。
またショートニングもスーパーのサラダ油もドレッシングも、加工食品にもトランス脂肪酸がてんこ盛りで入っています。
蟻はバターは食べますが、マーガリンは食物だと認識していないので寄ってきません。
強い力をもった食品産業が、金儲けのためにこんなものを売っているだけなのがよくわかります。
実はトランス脂肪酸は、動物の肉や乳にも、5パーセント程度含まれていますが、こうした天然のトランス脂肪酸は、人工的に作られる脂肪酸とは構造が違います。
こちらであればさほど大きな問題ではないのです。
人工的に作り出された不自然なトランス脂肪酸は、菜種油やコーン油などの植物油に、化学的に水素を添加されて作られます。
なぜ、わざわざ手間をかけて水素を添加するのでしょうか。
これは飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の分子構造の違いがあります。
不飽和脂肪酸は、水素と炭素の結合がところどころ欠けているため、常温では液体です。不飽和脂肪酸は言い換えると物質として不安定であり、これを多く含む油は、飽和脂肪酸を多く含む脂に比べて、「酸化しやすい」という弱点があります。
二重結合が多い脂肪酸ほど酸化しやすいことになります。
つまり多価不飽和脂肪酸を多く含む植物油は、劣化しやすいといえるのです。
そこで考えられたのが、水素添加でした。
炭素と水素の結合が欠けているところに、無理やり水素をくっつける。
そうすると、不飽和脂肪酸である植物油を、酸化しにくい、見せかけの飽和脂肪酸に変えることができるのです。
不飽和脂肪酸の分子構造を見ると、水素と炭素のつながりが欠けている箇所では、炭素と炭素が両手同士をつなぎ、二つとも同じ側の手に、水素が一つだけくっついています。これを、「シス型結合」といいます。
ここに水素を添加することで、片方の炭素と水素のつながりを、逆側に「トランス」、つまり「移動」させたものが、トランス脂肪酸です。
すると、きわめていびつな形の「飽和脂肪酸もどき」ができあがるというわけです。
人工的に作られるものでも、健康に害がないのなら何も文句はありません。
不自然な脂肪酸であるトランス脂肪酸は「悪い脂質」であり、悪い細胞、悪いホルモン、ひいては悪い体をつくる元凶となるのです。