テロメアはDNAの端にある一見何ということもなさそうな物質です。
テロメアのおかげで、DNAが端から壊れていったり、DNA同士がくっついたりしないようになっていますから、正常な細胞分裂のためには必要不可欠な物質です。
そのテロメアは細胞分裂の度に短くなります。
短くなって、最後は無くなり、細胞分裂ができなくなり、人は死を迎えます。
御存知の通り、人の細胞分裂の回数は、細胞によって違いがあるにしても、約50回が限界と言われています。
医学的には、人の寿命は約124歳が限界とされているようですが、思うに、細胞分裂の回数を基にして導き出されたのでしょう。
どんなに健康に気をつけても、テロメアを伸ばすことができなければ、すなわち、細胞分裂の回数を増やすことができなければ、約124歳で寿命が尽きることになります。
もっと長く生きることはできないのでしょうか。
実は、テロメアを伸ばす酵素は発見されています。
「テロメラーゼ」です。
老いた人間同士で赤ちゃんを作っても、寿命が0からカウントされる新しい個体でなければ、すなわち、親が使った分のテロメアが補充されなければ、誕生してまもなく死を迎えなければならなくなります。
何故そうならないのだろうか。
そんな疑問から発見されたのが、テロメアを伸ばす酵素テロメラーゼです。
この酵素を使えば短くなったテロメアを伸ばすことができ、細胞分裂の回数を伸ばすことができることがわかりました。
寿命が伸びる。
肌が若返る。
脳細胞が活性化する。
しかし、好事魔多し。
残念ながら、通常の体細胞にはこのテロメラーゼは含まれていません。
精子や卵子などの生殖細胞には含まれています。
含まれていなければ子孫を残すことができないからです。
それにしても忌々しいのは、がん細胞にテロメラーゼが働いていることです。
がん細胞は自然死滅せず、無限増殖します。
何故でしょうか。
テロメラーゼを使ってテロメアを伸ばし、細胞分裂の回数を増やしているからだと言われます。
原因があるから結果が起こる。
原因を改善すれば結果も改善される。
そんなプロセスを経て、人は様々な問題を解決してきました。
テロメラーゼを使ってテロメアを伸ばせば長寿が手に入ることがわかった。
そうであれば、人は近い将来、その具体的な方法を見つけるのではないでしょうか。