過度な刺激は心身に悪いが、適度な刺激なら心身に良い作用をもたらす。
いわゆるホルミシス効果であり、生物学上では常識とされています。
ストレスは何らかの刺激が加えられることによって身体や心に生じるゆがみと定義されますから、ストレスもまた刺激です。
従って、適度なストレスなら心身に良い作用をもたらしますが、過度なストレスなら心身に様々な不調をもたらします。
身体に現れる不調として、頭痛・肩こり・下痢・胃痛・十二指腸潰瘍・円形脱毛症等があげられます。
心に現れる不調として、不安・イライラ・気分の落ち込み・不眠等があげられ、重症化するとうつ病などの深刻な心の病につながりかねません。
ストレスは、飲酒量の増加・喫煙本数の増加・過食等の行動として現れることもあります。
このような生活習慣の乱れは生活習慣病の発症や悪化につながりますが、ストレスそのものが高血圧や糖尿病のリスクを高めることがあり、生活習慣病の危険因子でもあることが知られてきました。
ストレスを受けると全身の筋肉や臓器が酸素と栄養を必要とします。
心臓の鼓動は速く大きくなり血圧を上昇させます。
血液中には糖分や脂質等の栄養分が増えます。
活動するときに働く交感神経も活発に働きます。
仕事に取り組んでいるときは、身構えて緊張します。
仕事が終わって家に帰れば、緊張もゆるみます。
ところが、家庭内にトラブルや心配事があったり、職場や仕事のことを家に持ち帰ると緊張状態がいつまでも持続してストレス状態になり、ストレスを溜め込みます。
結果、血圧の高い状態が続けば、高血圧です。
血液中の糖分が増えたままなら、糖尿病です。
脂質が増えたままなら、高脂血症です。
交感神経の興奮が続くと、不眠・頭痛・肩こり・食欲不振・イライラ・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・下痢・便秘・腹痛等によって、自立神経失調症になりかねません。
更に、これが狭心症・心筋梗塞・脳卒中等の発作を起こす引き金になることも知られてきました。
そんな状態が続けば免疫力も低下し、免疫力が低下すれば、がんは増殖し、感染症にもかかりやすくなります。
以下、ストレスを予防する方法を列挙してみました。
(1)ストレスの原因となるトラブルがあれば、それを取り除きます。
(2)ストレスになるようなトラブルがあっても、自分が人間的に成長する糧になると思えれば、ストレスは溜まりません。
(3)適度な運動はストレスを解消しますが、無理な激しい運動は逆効果となります。
(4)アルコールは精神的緊張をときほぐしてストレス解消に役立ちますが、飲み過ぎは逆にストレスのもとです。
(5)趣味に打ち込むことはストレス解消になります。
(6)働くときには心身ともに緊張し、仕事を離れたらリラックスして休養する。
そんな緊張と弛緩のリズムある生活が大切であると言われます。