コレステロールは副腎皮質ホルモンや性ホルモンなどの原料になる重要栄養素である。
しかし今やこのコレステロールはただの悪役として扱われているようだ。
それが医学界と製薬業界とマスメディアによる嘘丸出しのマーケティングによることを、いまだ多くの人々は理解していない。
血液中のコレステロールは減れば減るほど癌や感染症になりやすい。
「日本脂質介入試験=J-LIT」という臨床試験では、総コレステロール値が220以上の人ばかり5万人に、コレステロール低下剤を6年間使用。
平均で約50下がったが、もっとも死亡率が低かったのは220~260の人だった。
180未満に下がった人の死亡率は、220~260の人の2.7倍に増え、40%が癌で死亡した。
がん死亡率が最低であった280以上の人の5倍までもが、癌で死亡したことになる。
ここでコレステロールが高いことで得られるメリットは、感染症や癌などの免疫に関する病気にかかりにくいということである。
あまりに高すぎれば別のリスクが生じうる。
よって年齢にもよるが、中年なら240~280の間程度は欲しいものである。
若い女性は無理にこの数字である必要はないが、最近の検査所見を見ていると130とか140という人がいる。
きっと40歳くらいになると癌にでもなるのだろう。
血圧についてはどうか、これも私でなくとも多くの医師が血圧を下げることの弊害を訴えてきた。
以前は高血圧の基準は160/95であったが、現在の基準では130/85にまで引き下げられている。
1992年~1998年まで実施された比較試験では、70歳以上の高齢者で血圧が160~179ならば、降圧剤を使用しないほうが脳卒中や心筋梗塞にかかる率に差はなく、癌になった人は少なかった。
心筋梗塞が変わらないというデータは結構ある。
昔は年齢に90を足せと教えたが、私は100を足せと言う。
わかりやすいからであり、要するに60歳だったら150~160くらいは欲しいものなのである。
よくコレステロールや高血圧の薬をやめたいが、数字が上がるのが怖いという人がいる。
そもそもの考え方がおかしいとは気づかないようだ。
その数字は必要だからその数字になっているのであって、食を考えれば落ち着くところに落ち着くだけである。