シリカは生物界で最も多く存在する元素の一つで、通常、ケイ素と酸素が結合した二酸化ケイ素(SiO2)、もしくは二酸化ケイ素で構成される物質を総称して呼びます。
シリカは身近でいうと石(鉱石)に多く、その中でも石英という石に多く含まれます。
そして石英が成長してできたのが水晶で、およそ99.9%もの純度のケイ素で構成されています。
ケイ素と酸素の化合物である二酸化ケイ素は不溶性で、体に吸収されません。
吸収するためには水溶性のイオン化したケイ素(Si)の状態である必要があります。
地球の骨格“ケイ素(シリカ)”
私たちにとって必須ミネラルであるケイ素は、1823年にスウェーデンの化学者ベルツェリウスによって発見されました。
原子番号は14、元素記号はSiです。
地殻(地球の表層)のおよそ3割がケイ素で構成されており、地球内部のマントルや核なども含めると地球の約60%をケイ素が占めるとも考えられています。
まさに地球の骨格を形成していると考えられます。
ケイ素で進化した私達の祖先
約30億年以上の太古の昔に地球上に誕生し、現在も生息していることで知られる原初の生命「シアノバクテリア」は、地球上で初めて光合成をはじめたとされる原核単細胞生物です。
以前は藍藻類と呼ばれていましたが、真核生物である他の藻類と違い細胞内に核がない原核単細胞生物のため、現在ではバクテリアとして分類されています。
ただし他のバクテリアと違って葉緑素をもっているため光合成をすることが可能です。
また池などの身近な場所から氷河の上まで、普遍的な存在としてどこにでも生息しています。
約30億年という長い期間、絶滅することなく変わらず生き続けたその理由は、あらゆる生命に必要な“酸素”を供給し続ける存在だからです。
そして、その酸素を生み出したのも光合成を初めて行ったシアノバクテリア自身なのです。
光合成の結果、多くの酸素が放出されることで地球は大気中に酸素を持つ星になりました。
シアノバクテリアはその光合成のためにケイ素を利用していたと考えられているのです。
光合成の際に葉緑素がケイ素を必要とし、既に地球に豊富に存在していたケイ素を利用することでどんどん生み出される酸素。
そしてその時代において有害であった酸素を利用する生物が誕生したことで進化が起き、その結果今までとは比較できないくらいに大きなエネルギーをうみ出すことができるようになりました。
これが後への進化の促進となっていったのです。
やがて多種多様な生物や植物が誕生していき、食物連鎖という形でエネルギーの受け渡しをしていきます。
進化していった生物のエネルギーの源がケイ素であるならば、自身もケイ素で構成されているわけです。
まさにケイ素というエネルギーの受け渡しによって生命が栄えていったといえます。
例えば食物繊維の主成分はケイ素です。
食物連鎖の過程では、土壌からケイ素を吸収した植物を起点とした食物繊維豊富な食べ物のリレーによって、自身にケイ素を補給していくのです。
ケイ素はもはや、生命の原点であり、骨格であるといえるのではないでしょうか。
シアノバクテリアの現在の姿「ストロマトライト」
シアノバクテリアは太古の地球において、海洋の浅瀬で珊瑚礁のようなコロニーを形成し、大繁殖していたといわれています。
現在、世界遺産にも登録されているオーストラリアのシャークベイに存在している「ストロマトライト」と呼ばれる化石がそれに当たります。
シアノバクテリアが光合成によって少しずつ酸素を大気に放出し、現在の大気を作り上げたと考えられています。
現在の地球の大気には約21%の酸素が存在しているといわれますが、当時光合成によって増加した酸素が海水中の鉄分を酸化して縞状の鉄鉱層をつくりながら、やがて飽和状態となり、やがて大気中の酸素濃度が上昇していったとされます。
その後大気の上層部にオゾン層が形成され、有害な紫外線が遮られることで生命が陸へと進化していったと考えられています。
また、ストロマトライト以外にも、現存する有名なシアノバクテリア類がいます。
「ブルーグリーンアルジー」と呼ばれ、米国オレゴン州南部のアッパークラマスという湖に世界で唯一生息しています。
葉緑素を含み光合成を行いながらも動物性のタンパク質を含むという特徴をもっており、その完全性のある栄養価から“完結した健康食品”として評価されています。
私達に共生する「ミトコンドリア」
私達“ヒト”の祖先は「酸素を利用しない生物」だという説があります。
その説に則れば、まず太古の昔に光合成によって酸素が増加すると、「酸素を利用する細菌(好気性細菌)」が「酸素を利用しない生物」の細胞の中に入り込み、一緒に生活するようになりました。
「酸素を利用する細菌」は「酸素を利用しない生物」の細胞の中で酸素を利用してエネルギーをつくりだし、そのエネルギーを「酸素を利用しない生物」の細胞に与えるようになったのです。
一方で、「酸素を利用する細菌」は「酸素を利用しない生物」の細胞に、タンパク質を生成してもらうようになりました。
これがいわゆる「細胞内共生」であり、共存関係のはじまりと考えられています。(このことは細胞内共生説とよばれます。)
その上で、「酸素を利用しない生物」の細胞の中に入り込んだ「酸素を利用する細菌」が現在の「ミトコンドリア」になったとされ、この細胞が後に “動物細胞”に進化したと考えられています。
そして“植物細胞”においては、ミトコンドリアを有する細胞がさらに光合成を行う「シアノバクテリア」を取り込み、後の「葉緑体」になったと考えられているようです。
ミトコンドリアにみられる二重の膜は細胞内共生説の証拠の1つといわれ、「酸素を利用しない生物」の細胞の中に「酸素を利用する細菌」が入り込んだ場合にできる、細胞の膜と細菌の膜の二重の膜だとされるのです。
それ以外にも、ミトコンドリアのもつDNAは好気性細菌のそれに、葉緑体のDNAはシアノバクテリアのそれに類似しており、それぞれ細胞核のDNAとは別の独自のDNAとなっていることも説の裏付けとなっています。
これらの事実をもとに、細胞内共生によって、酸素を利用する好気性細菌がミトコンドリアに、シアノバクテリアが葉緑体になったと考えられているのです。
このような共生関係によって、原核生物から真核生物が生まれ、やがてわたしたちの祖先が誕生したと考えられています。
光合成によって酸素が放出されるまでは、地球の大気のほとんどが二酸化炭素で占められていたとされます。
光合成をはじめたのが、上述の通り、原核生物であるシアノバクテリアなのです。
現代の私達にとってのケイ素の役割
上述の内容に従えば、ケイ素は生命の原点の存在であり進化の鍵となった存在です。
そんな生命の骨格的な栄養素であるケイ素は、現代を生きる私達の身体においてどんなはたらきをするのでしょうか。
・コラーゲンの増強作用
・新陳代謝を高める
・酵素の働きを活性化
・精神の健康に役立つ
・質の良い睡眠をサポートする
・血管内を健全に保つ
・体内でイオン(電子)の受け渡しをする
・骨密度を高める
・血管を補強して血流を改善する
・活性酸素を無毒化する
・体内の毒素や老廃物を排出する
研究者が語るケイ素の役割
「ケイ素は治療の分野で大きな役割を果たすことができる」 ルイ・パスツール(生化学者・細菌学者)、フランス
「ケイ素は、太古から現代までの生命誕生に関わり続け、その維持に必要不可欠なものである」 アドルフ・ブーテナント(化学者、1939年ノーベル化学賞受賞)、ドイツ
「人体の骨は、ケイ素があってはじめてコラーゲンを含んだ質の高い骨となる」 フラミンガム研究、アメリカ