小麦を抜いて体調改善 「グルテンフリー」健康法
小麦や大麦、ライ麦などに含まれるたんぱく質、グルテン。「グリアジン」と「グルテニン」という2種類のたんぱく質を水でこねることによって形成される。粘りや弾力があり、パンやパスタのもちもち食感のもとになっている。
グルテンは、パンやピザ、パスタ、うどん、ラーメン、お菓子のほか、カレールーなどの加工食品や、天ぷらやフライの衣にも含まれる。これらをはじめ、グルテンを含む食事をとらない健康法がグルテンフリーだ。
本間院長によると、慢性の不調に悩む人の中には、小腸がグルテンに過敏に反応する「グルテン過敏症」や、グルテンを消化しにくい「グルテン不耐症」の人たちがいる。こういった人たちがグルテンをとると、「小腸の粘膜に問題が生じ、必要な栄養素が十分に吸収されなかったり、不要な毒素が取り込まれたりする。これが慢性的な不調を呼ぶ」。
グルテンによる不調は多岐に渡る。「便秘や下痢、橋本病やリウマチといった自己免疫疾患、副腎疲労、抑うつ症状、PMS(月経前症候群)、片頭痛、ADHD(注意欠陥・多動性障害)など、さまざまな不調につながる。毒素が入り込めば、肝臓に負担もかかる」と本間院長。グルテンの入った食事をとらないことで、これらの症状を抑える、それがグルテンフリーだ。
「生きるのに必要なものを取り込む場所の問題だから、症状も多岐に渡る」)のだが、その幅広さが「グルテンフリーのわかりづらさにつながっている」のも事実だ。
わかりづらさはこんなところにもある。例えば、ネットで「グルテンフリー」を検索すると、「グルテンフリーダイエット」に関する記述が多数登場する。「ダイエット」という言葉から、「やせられるの?」と思う人も多いかもしれない。だが、この「ダイエット」(diet)は、食事法という英語本来の意味で使われている。
では、やせないのかというと、そうではない。「グルテンフリーを実践すると、実際に体重がすとんと落ちる人が多い」。「グルテンによって小腸の粘膜が傷むと、絶えず出続ける炎症物質の影響により、脂肪合成が高まる。つまり太りやすく、やせにくい状態になる」。グルテンを含む食事をやめれば、「炎症が鎮まり、脂肪が蓄積しにくくなる」という。
では、自分がグルテンに敏感なタイプかどうかをどうやって判断すればいいのだろう。現在、国内には保険で受けられる検査はない。そこで、本間院長が薦めるのは、「3週間グルテンを抜いてみる」こと。「困っている症状が良くなればグルテンが原因だったとわかる」。グルテンに弱いとわかったら、「その後もずっとゼロにするのが理想だが、食べたい場合は、連日食べないようにするといい」。
「不調があると、薬をのむ、サプリをのむといった足し算の対処ばかり。引くことも試してください」。