ガンの予防に役立ち、スタミナを増強し、肥満を防止する効用を持つ食品といったら、現代日本人の救世主みたいなものだ。はとむぎは、まさにそんな食品なのである。
はとむぎは昔から民間療法では、イボ取りの妙薬として知られている。
イボは上皮組織が異常増殖したもので、ガン腫とは同類項である。
だから体質が悪化すると、ただのイボがガン腫に変化しやすいのだ。
良質・悪質の違いはあるが、組織学的なりたちはよく似ているからイボに卓効をあらわすものがガン腫に有効に作用しても不思議な話ではなかろう。
実際、胃がんや子宮がんなどに効果を表し現在、はとむぎの制ガン作用は大いに注目されているところである。
スタミナ増強効果を表すのは、はと麦に粗蛋白、不飽和脂肪酸がたっぷり含まれているため。
賦飽和脂肪酸とはリノール酸、リノレン酸などのことで、脂肪代謝を正常にする作用を持っている成分である。
それとミネラルや酵素などの有効微量成分が総合的に働く。
有効微量成分が多く含まれているのは野性味の強い植物に共通した特性。
はと麦は人類最古の穀物といわれているほどで、原始性の強い食物なのだ。
また、はとむぎには特有のネバリがある。
粉を水でねって焼くと、モチのようにふくれる。
俗に「ヌラヌラ、ネバネバしたものは強精効果がある」といわれているから、はとむぎの粘稠性(ねんちょうせい)成分もスタミナ作りに役立つということも十分考えられる。
はとむぎは新陳代謝を促進して老廃物の排泄を促す働きがあるから、肥満の解消にはきわめて有効である。
このほかにも、はとむぎはむくみを取り、神経痛、リュウマチを治し、糖尿病、脚気にも有効。
また、健胃効果も大でとくにめざましいのは、美容効果だ。
はとむぎは皮膚や粘膜など体の一番外側にある組織の機能を健全にするという特技をもっている。
肌のキメを細かくしてなめらかにするばかりでなく、サメ肌や色黒をも治す。
いずれの場合も、たまにどっさり食べるよりも、少量ずつ毎日続けて食べたほうが効果は大きい。
はとむぎは、雑炊にすれば、はとむぎ特有のニガ味も苦にならなくてよい。
はとむぎは普通に鍋で炊くと、3時間ぐらいかかってしまうから、圧力鍋を用いるか、次の方法をとるとよい。
魔法瓶に半分程のどのはとむぎを入れて、熱湯を一杯に刺して一晩置くのだ。翌朝には軟らかくなっている。
これにねぎ、みつば、にらなどの好みの具を入れて、自然の味噌、醤油、自然塩などで調味して雑炊にしたてる。
胃がもたれるときは、はとむぎを煎じた汁を飲むと卓効がある。また粉末のものは、無漂白の小麦粉と混ぜて、てんぷらの衣、クッキー、お好み焼き、パンなどといろいろに使えて便利である。