これまでの人生を見直し、生き方を変える            内山 遥


免疫の主役である白血球は自律神経に支配されており、働きすぎ、悩みすぎなど、無理な生き方で自律神経のバランスがくずれ免疫が低下して、がんが発症するのです。

がんを経験した人なら誰しも、「なぜ自分はがんになってしまったのだろう」と考えたことがあるでしょう。

私も、「まだ40代前半だし、それほど不摂生をしていたわけでもないのになぜ…」と首をかしげたものです。

 

けれども安保徹教授は、がんの原因は自分自身のなかにあると言います。

 「がんをはじめ多くの病気は、免疫が低下することによって起こります。そして免疫力を低下させる元凶は、偏った生き方なのです。

ところが、医療関係者も 一般の人も、なぜがんができるのかをきちんと理解していません。

だからがんを治すには、“悪いものを取る”“小さくする”という考え方にしか辿り着けないのです」(安保教授)

“偏った生き方”が、発がんにつながるメカニズムは、福田稔医師(日本自律神経免疫治療研究会理事長)との研究で発見した「白血球の自律神経支配の法則」(福田―安保理論)で、実に明快に説明されます。

 

 この理論は、免疫の主役である白血球は自律神経に支配されており、働きすぎ、悩みすぎなど、無理な生き方によって自律神経のバランスがくずれ、

免疫が低下して、がんや慢性疾患を発症するという考え方です。

 

 「白血球の95%は、細菌処理を得意とする顆粒球と、ウイルスやがんなどの異物処理を行うリンパ球で占められています。

自律神経には、交感神経と副交感神経があり、あらゆる生命活動をコントロールしていますが、交感神経が優位になると顆粒球が増え、副交感神経が優位になるとリンパ球が増えるのです。

 

 通常、昼間仕事などでストレスを感じ、交感神経が優位になっても、夜睡眠をしっかりとることで、副交感神経が優位になります。

つまり自律神経のスイッチが、スムーズに切り替えられているというわけです。

 ところが毎日夜遅くまで働いたり、ストレスが続いたりして交感神経優位の状態が長く続くと、白血球のなかの顆粒球が増え、リンパ球が減ってしまいます。 

すると、増えすぎた顆粒球は活性酸素を放出し、それが遺伝子にもダメージを与えてがんをつくり出してしまうのです。

 

一方で、がん細胞をやっつけてくれるはずのリンパ球は不足状態にあるので、がん細胞の増殖が抑えられなくなり、がんを発症してしまうというわけです」

と安保教授は語ります。

                                                                                             

                        

体温が低いと免疫力は低下する                        

がん発症を考えるとき、もう一つ大事なキーワードがあります。それは、「低体温」です。

リンパ球は、体温が高い状態で活発に働きます。かぜで熱が上がるのは、体温を高めてウイルスをやっつけるリンパ球を増やすため。

基礎体温が高い人は、免疫力が高いのですが、低い人は、免疫力が低下して病気になりやすいのです。

なぜでしょうか。安保先生は、こう指摘します。

「自律神経と体温にも、密接な関係があります。交感神経が優位になりすぎると、血管が収縮して血流が悪くなり、体温も低下してしまうのです。 

体のなかで、がんができやすいのは、冷えたり血流が悪い場所です。

たとえば女性に乳がんが多いのは、乳房が突き出ているので血液が届きにくいから。

また、ストレスで胃が痛む人は、胃の血流障害を起こしやすく、胃がんを発症しやすいのです。

 

反対に、楽をしすぎている状態、つまり副交感神経が優位過剰でリンパ球が多すぎる人でも体温が低下してがんを発症することがあります。

血管が開きすぎて 血流障害を招くうえ、運動不足で代謝熱が低下し体温が低くなるからです。

このタイプは肥満の人に多く見られます」

さて、がんを経験された方は、発症前の自分を振り返ってみてください。なにか思い当たることが、あるはずです。

自分の生き方が偏っているなんて思いもしなかった私も、発症前に、冷えが原因と思われる月経困難症や不妊症というトラブルを抱えており、体温は35.7℃前後という状態でした。

夜中まで仕事をしていたことも多かったし、ストレス解消方法はもっぱらお 酒…。なんと体によくない生活だったことか。

 

安保先生は、「日本人は、まじめで頑張り屋さんが多いから、自分では普通に生きているつもりでも、知らないうちに無理してしまっているんですよ。

とくに男性と同じように働いている女性は、頑張り過ぎてしまいがちですね」と言います。

皆さんも、がんになった原因が思い当たったでしょうか? 

がんになった原因を、きちんと知ること。それが、がんを治す第一歩なのかもしれません。

 

 

<安保先生にもう一言・・・>                              

「早期発見・早期治療ががんをつくる」                              

がんが早期で見つかる。これは一見、ラッキーであるようなイメージがありませんか?私も、「早めにがんを見つけて治療できてよかった」と思っていました。

ところが安保先生は、「早期発見が、がんをつくるのだ」と指摘します。

 

「私たちは、無理して疲れると休むでしょ。発がんしていたとしても、休養することによって免疫が上がり、がんは消えるものなのです。

でも、そのタイミングで検診したりすると、早期がんが見つかって、がん患者にされてしまう。それに、がん検診の場合、結果が出るまで、誰でも不安になります。それが大きなストレスになって、がんをつくり出してしまう」というわけです。

 

さらに安保先生は、

「実際に、がん検診を受けたグループのほうが、発がん率が高いというデータも多いのです。

でも、そういうデータは、あまり日の目を見ない。がん検診をする人が増えて、早期発見で見つかっても、がん患者は減らず、かえって増えるばかりだという事実が、がん検診には意味がないということを物語っていると思います」と話しています。                                                                                                                                                                                                           

がんは、一度できたらどんどん大きくなる…そう思い込んでいませんか?

「健康な人の体にも、毎日、がん細胞は生まれています。それでも、がんにならないのは、リンパ球が働いて、がん細胞を攻撃するからです。

がんになった人でも、免疫力が上がってリンパ球が増えれば、がんは自然退縮するものなんです」(安保先生)

 

リンパ球の数が1800~2000個/mm3あれば、がんは自然退縮するそうです。

 

ところが、リンパ球を確実に減らしてしまうものがあります。それが三大療法です。

「三大療法は、どれもリンパ球を減らす治療法です。とくに大手術を受けたり、放射線治療や抗がん剤治療を徹底的に受けると、リンパ球は急激に減ってしまい、元に戻るのに時間がかかるため、再発のリスクが高まってしまうのです」(安保先生)

 

 ただし三大治療が、すべて間違っているというわけではありません。

 

「三大療法のなかでは、早期がんを手術するのが、最も負担が少ないでしょう。抗がん剤も、急性リンパ性白血病のように、抗がん剤によく反応するがんなら、体力の許す範囲で使うのはかまいません。一番よくないのは、放射線治療です」(安保教授)

抗がん剤治療であれば、治療をやめるとリンパ球が上昇しますが、放射線治療を受けると、その後、リンパ球の減少が長く続いてしまいます。

つまり、がんと闘う力を最も削いでしまう治療法なのです。

 

放射線治療を受けていいのは、通過障害がある消化管のがんや、脳腫瘍で圧迫による麻痺があるなどの場合だけで、それも最小限にすべきであると、安保教授は言います。

 

 今、治療中の方は、ドキッとされたかもしれませんが、大丈夫・・・。

「三大治療を短期間受けると、むしろそれを跳ね返そうとする力が湧いてくるものなんです。けれども、徹底的に治療を受けてしまうと、余力のない人は、過酷な治療に負けてしまう。体に悪いことをして病気が治るなんておかしいと気がついて、早めに引き返してほしいものです」(安保先生)

 

とはいえ、治療をやめたいなどと言い出したら、主治医との関係が悪くなってしまうのではないか、と悩む人も多いでしょう。

医師は、自分の治療方針に従わない患者には、時として冷たいものです。

「治療をやめたら、がんが大きくなるかもしれない」とか「もう知りませんよ」などと、平気で言い放つ医師も少なくありません。

そういう心ない言葉は、私たちがん患者にとって、非常につらいものであり、大きなストレスになって免疫力も低下してしまうのです。 

 

「そんなときは、主治医との関係を悪くしないため、体力が弱ってしまったから、治療を中断したい。体力がついたら、またぜひお願いします。

先生が頼りです と、けんか別れしないように伝えることも必要でしょう」  安保先生は、アドバイスします。

 

                              

ストレスを避け、副交感神経を刺激すればがんは治る

さて昨年11月に放射線治療を終えた私は、主治医に「これで元の生活に戻ってもいいですか?」と聞きました。

すると「そうですね。戻っていいですよ」と いう言葉が返ってきました。同じようなことを言われた方は、多いと思います。

でも、がんを治すには、元の生活に戻ってはいけないのです。

 

「がんになってしまった人は、がんを発症するような生き方をしていたということ。だから、がんを治すには、生き方を根本的に変えなくてはいけません」

安保先生は、次のような『がんを治す4か条』を提唱しています。

「明るく前向きな気持ちで、この4か条を実践すれば必ず体調はよくなり、がんと闘う力が高まります」(安保先生)

 

がんを治す4カ条

 1. 生活パターンを見直す

 2. がんの恐怖から逃れる

 3. 免疫を抑制するような治療を受けない、受けている場合は止める

 4. 副交感神経を刺激して免疫力を高める

 

1.生活パターンを見直す

がん発症の最大の原因であるストレスを、少なくするような生活パターンに変えることが大切です。最もよくないのは、働きすぎること。

夜遅くまで働いていると、交感神経緊張状態が続き、免疫力は落ちるばかりです。「仕事も家事も7割でいい」とすれば、ストレスは、たまりません。

 

 2.がんの恐怖から逃れる

「恐怖は、最大のストレスとなります。恐怖から逃れられないと、交感神経の緊張状態が続き、免疫力を上げることができません」(安保先生)

がんは決して怖い病気ではなく、自分で治せる病気です。免疫力が上がれば、がんは自然に退縮していくものだと理解することが、治癒につながります。

 

 3.免疫を抑制するような治療を受けない、受けている場合はやめる

前述したように、三大療法は、がん細胞を攻撃してくれるはずのリンパ球を減らして、免疫を抑制してしまう治療法です。

体に負担がかかるような治療を受けている人は、今すぐ中断してみてはいかがでしょうか。

                              

 4.副交感神経を刺激して免疫力を高める

副交感神経を優位にすると、がん細胞を攻撃するリンパ球が増えます。

副交感神経を刺激する方法としては、玄米菜食、適度な運動、体を温める、笑うなどの方法があります。

 

 

私は、がんになる前、一人で食事をすることが多かったせいか、食事の内容が偏っていることが多く、短時間で食事を済ませていました。ひどいときには、アルコールとおつまみだけで、夕食を済ませてしまうこともありました。

 「働きすぎたり悩みすぎたりしている人は、甘いお菓子やお酒がほしくなります。

砂糖やアルコールは、副交感神経を優位にする食物なのですが、ストレス過多で交感神経が緊張しているときには、体が自分を守ろうとして副交感神経を優位にするものを食べて、バランスを取ろうとするのです」(安保先生)

毎日、お酒が飲みたい、甘いものがほしいという人は、偏った味覚をストレスから来る危険サインと考え、無理な生き方を見直す必要があると言えそうです。

 

免疫力を高めるには、副交感神経を積極的に刺激することが大切です。

とくに腸管は、副交感神経によって支配されているので、体によいものを食べて適度に消化管を刺激してやると、リンパが増えて免疫力がアップするのです。

 

安保先生が、がんの患者さんに勧めるのは玄米菜食です。玄米は、ほとんどの栄養素を含み、とくに食物繊維がたっぷり含まれているのが優れている点だと言います。

 

「体調が悪いと便が黒っぽくなるのですが、玄米に、おからや切干し大根、ごぼう、海藻、きのこなど、食物繊維の豊富なおかずを日常的に食べていると、便の状態が明らかに変わり、黄金色になります。黄金色の便がでているときは、腸のなかでビフィズス菌が増えて酸性になり、腐敗菌が少なくなるので、腐敗臭もな くなるのです」(安保先生)

 

玄米菜食だと、たんぱく質が不足しないかと考えがちですが、野菜にも玄米にも、たんぱく質は含まれています。

たとえば玄米には6.8%、キノコ類は90% 以上が水分にもかかわらず、2~4%ほどのたんぱく質が含まれています。だから、意識してたんぱく質をたくさん摂らなくても大丈夫。

肉類を多く食べると、 かえって腸内環境が悪化しやすく、便の状態も黒っぽくなるので、たんぱく質を摂るなら豆類や大豆製品がおすすめです。

 

20年ほど前、旧厚生省から「健康のために1日30品目食べましょう」というスローガンが発表されました。今でこそ健康指針から外れていますが、毎日いろいろなものをバランスよく食べなければいけないと、思い込んでいる人も多いのではないでしょうか。

 「そもそも多くの動物は、1種類のものを食べて生きてきました。コアラはユーカリしか食べないし、パンダは笹しか食べません。なのに、筋肉隆々でしょ。

腸内環境がよくなって、よい腸内細菌がすみつくと、人間だっていろいろなものを食べなくても生きられるようになるのです。

実際に水や青汁だけで生きている人は、日本に20人もいるそうですよ。

腸内細菌を利用して生きているという感覚を持てば、いろいろな物をバランスよく食べなくちゃいけないという呪縛から逃れられてラクだし、自然に少食になります。

ただし急に少食にすると、空腹を感じて、それがストレスになるので、少しずつ慣らしたほうがよいですね」(安保 先生)

 

ちなみに安保先生の毎日の食事は、玄米と野菜がメイン。

たまに肉料理を食べる程度だということですが、100歳を過ぎたら、水分だけで生きることに挑戦しようと考えておられるそうです。

 

食事と並んで大切なのは、入浴と運動です。入浴と運動によって体温が上昇し、免疫力が上がるからです。入浴は、ぬるめのお湯にゆっくり浸かるのがコツ。 ただし体力が落ちている人は、負担が大きくなるので、入浴を控え、足湯や湯たんぽで体を温めるようにしましょう。

運動は、特別なスポーツをしなくても、ウォーキングや軽い体操などで十分。ただし必ず毎日意識して、体を動かすようにしましょう。

激しく運動してしまうと、肉体的なストレスで交感神経が優位になってしまうので、疲れない程度にとどめておくことが大切です。

 

再発したくないなら、検査を受け過ぎないこと

がんの治療を、ひとまず終えた方の多くは、3~4か月に1回とか、6か月に1回のペースで、検査を受けていることでしょう。

検査を受け、結果を待っている間、「再発していないだろうか」という不安にかられることはありませんか?

 

 「検査の結果、異常なしといわれるとほっとしますよね。ほっとするということは、その間、ものすごい不安を感じているということなんです。

検査をひんぱんにすればするほど、怯える回数が増えて交感神経過緊張になるから、かえって再発しやすくなってしまうのです。健康な人だって、年に何回も検査したらがんになりますよ。ましてや治療後、体が弱っている人は、たびたび検査を受けてはいけないのです」(安保先生)

 

安保先生も、若い頃は丹念に、いろいろな検査を受けていたそうです。けれども、偏った生き方ががんを発生させるとわかってからは、まったく検査を受けなくなったと言います。

 「生き方を変え、体にいいことをして、検査を受けずに自分で治そうと決意した人は、再発しない傾向があります。

どうしても不安な人は、免疫療法を行っている医師を探して、ときどきリンパ球比率などを調べてもらうのもいいでしょう。

もし、比率が落ちているようなら、もっとしっかり玄米菜食や体操などをやろうなどと、日頃の生活を見直すきっかけにすればいいのです」(安保先生)

 

それと大事なことは、笑うこと。

笑うと気分がリラックスして副交感神経が刺激されますし、リンパ球の一種のナチュラルキラー細胞が増えて、がん細胞を攻撃する力がアップすることが明らかになっています。安保先生は、「がんの再発を防ぎたい人は、1日2回、鏡を見て笑うようにしましょう。

鏡を見ることによって、笑っている自分を意識できますから」と勧めます。

 

また、「生き方を変えるいい機会になった」と病気に感謝している患者さんは、よくなる傾向が強いそうです。

「感謝」は、怒りや恐怖の対極であり、副交感神経優位の状態。免疫力も、上がりやすくなるわけです。

どうしても感謝の気持ちをもてないという人は、深呼吸をしたり音楽を聴くなど、意識してリラックス状態をつくるようにすると、副交感神経を刺激することができます。

 

「私は、がんの患者さんをたくさん見てきましたが、治った人はみな、何か一つだけに頼るのではなく、運動して体を温め、玄米菜食をして、仕事のやり方も見直すなど、生活を変えています」(安保先生)

 

これまでの人生を見直し、生き方を変える。生活全般を見直し、体によいと感じたことは、何でも取り入れてみる。

遠回りのようですが、案外がんを治す近道なのかもしれません。

 

毎日の生活で心がけたいこと

○ 睡眠時間を十分とる(疲れたときは8~9時間)

○ 食事の基本は玄米菜食

○ 適度に体を動かして体を温める

○ 感謝して笑う

 

<安保先生のお話を聞いて>

放射線治療を終えて3か月。

この間、玄米、手づくりのニンジンジュースなど、体によさそうなことをはじめました。

ゆったりと入浴し、毎日少なくとも30分は体を動かすようにしています。

仕事も再開しましたが、無理をしない、夜は仕事をしない、この二つを守っています。

 

抗がん剤治療で抜け落ちてしまった髪もようやく伸びて、“自毛デビュー”も済ませました。

先日、久しぶりに病院に行って血液検査を受けました。その結果、白血球数は3300と少なめでしたが、リンパ球率は32.3%とまずまずでした。

主治医からは、4月に超音波検査を受けるように言われたので、もう少したってから受けたいと答えたのですが、有無を言わさず予約を取るように言い渡されてしまいま  した。

「わかりました」と軽やかに返事をしたものの、予約は取らずに帰宅。多分、もう主治医にお会いすることはないでしょう。

 

けれども、医師に頼らない道を選んだ以上、これからは自分の健康は自分で守らなければなりません。

毎日、鏡で笑顔をチェックしながら、前向きに生きていこうと、思いを新たにしました。