「がんを持ったまま生きる」と「がんを抱えて仕事をする」は、実は別の問題だと、私は思っています。
「がんを持ったまま生きる」は、養生を重ねて、がんではあるけれど、それなりに楽しく生きている方のことだと思います。
ステージ4で治療でがんを取りきれず、おまけに再発して余命宣告をされてから、生きることに前向きになったという方を知っています。
退院後に、それまでしなかった散歩を始め、自然豊かな湖の周りを歩くことで生きていることが楽しくなり、それを日課にしたら、余命宣告をはるかに超え、時々悪化して入院することがあっても、「また歩きたいから」という理由だけで元気になり、今も崖っぷちを歩いていると笑いながら、散歩だけではなく好きな趣味を楽しんだり、積極的に人に会ったりして、「今日」という1日を豊かに暮らすことを楽しんでいる方がいらっしゃいます。
病気で早期定年をして退職後の余生・・・の感じですが、「がんを抱えて自分らしく生きる」という生き証人のような方だと思います。
「がんを抱えて仕事をする」は、仕事場ががんの発生源(悪しき生活習慣の舞台)になっている可能性があるという、とても重要な視点が必要です。
疲労感が無意識であっても、忙しさが生きがいであっても、心身がその環境に悲鳴をあげ、がんというSOS信号を出してきた・・・可能性は大きいと思います。
もちろん、家庭内のトラブルが最も大きなストレス源で、仕事場が憩いの場であった・・・という方もいらっしゃることでしょうが。
もしも「仕事が憩いの場」であるのならば、速やかな復帰はマイナスにはならないかもしれませんが、心身ともに衰弱しているので、今までの7割ぐらいでできる、さらに、それで納得できる仕事ならば、良いと思います。
体調配慮で配置換えになったことで、かえって鬱になる方もいらっしゃるので。
「仕事場が戦場」の場合は、まずはその仕事から離れることです。
何よりも優先しなくてはいけないのは、命です。
命を復活させる期間は、戦場はふさわしくありませんから。
何年も離れるのではなく、一年か二年、しっかり体づくりに専念することは、プロスポーツ選手の怪我後の復帰トレーニングと同じだと思います。
休むべきところで休み、すべきトレーニングやリハビリをきちんとすることで、その後も活躍できますよね。
そこを曖昧にして、早期復帰を焦ると、結果的に短い選手生命になります。がんの場合は、命の長さそのものに関わります。
焦らないことです。急がないことです。
仕事は、いつでもできますが、命は、2度とは手に入れられませんから。
どうしても仕事をしたいと思ったら、今までしたことがないジャンルのパートなどを、少しずつ体験したみたらどうでしょう。
世間が広がり、自分の未知な部分が開花するかも(^^)