がんは検診より予防                       吉冨 信長


日本で「検診」需要がよりいっそう増えてくるのではないか、ということです。特に乳がん検診のマンモグラフィです。

 

芸能人の切実な闘病生活は、確かに多くの人の心に突き刺さり、時には励まし、時には生と死について真剣に考えさせられる機会を与えることでしょう。

ところが、その反響の大きさゆえに、結果的に製薬利権や医療利権の広告塔になってしまったり、短絡的な方向に国民を導いてしまうことになりかねないのです。

 

日本では昨今需要が上がっている乳がん検診のマンモグラフィですが、これは早期乳がんを発見することにより、致命的となる転移性の乳がんの発症を減らすことが目的とされたものです。

しかし、アメリカなどをはじめ、いくつかの先進国の間では否定され始めています。

 

アメリカの報告ではマンモグラフィ検診(以下、マンモ)の疫学調査(約30年間)を行ったところ、確かに早期乳がんの発見(発症)数が2倍に増えているのですが、転移性乳がんの発生は一定でした。

つまり、マンモにより発見率が上がったとしても、本来の最終目的としている転移性乳がんの発生はいっこうに減らなかったのです(Archie Bleyer, N Engl J Med 2012)。

さらに、この期間で130万人以上の女性が過剰診断であったという報告もありました。

米国予防医学専門委員は40歳代の女性に対しては推奨しないという結論をだし、推奨度を下げることにしました

 

また、スイスの医療委員会でもマンモは死亡率を低下させないことや、治療する必要のない乳がんを発見するおそれがあること、50歳以上の検診でも意味がないことなどを理由に廃止を勧告しています。

カナダの疫学調査でも、マンモの検診経験者と、未経験者の比較研究が行われた結果、マンモは死亡率を低下させないという発表がされました。

 

確かに早期発見が有効な病気もあります。

たとえば、私たち現代人にはあまり馴染みがありませんが、「結核」という感染症などは確かに早期発見が治療において有効です。

感染症は対症療法で細菌を退治すればほぼ治ります。

 

しかし、がんはこうした外因性のものとは異なり、生体内で発症してしまう「内因性」のものです。

外因性の細菌のように、はっきりと区別できるものではありません。

がんはそもそも判別が困難であり、さらに腫瘍細胞のまわりには正常細胞もおり、敵なのか味方なのかも分からず、早期発見で早期治療という概念はなかなか通用しないものです。

 

ところが、がんの多くが予防可能です。

がんは、ランダムに確率的に誰にでも発生する病気ではありません。

宿主の食事、生活習慣、環境要因によって発症するかしないかが分かれます。

仮に知らないうちにがんが発生しても、がん死のほとんどは転移性が原因であるため、やはり食事をはじめとした生活習慣を正すことで、この転移・再発を抑えられるはずです。

 

実際に、欧米では予防医学が少しずつ発展しており、がんによる死亡率や発症率が減少傾向にあります。

 

一方、日本では、「検診でひっかからなければとりあえず健康」的な雰囲気があり、検診結果を見て一喜一憂をしている状況です。

残念ながら、病気にならない栄養指導や健全な生活習慣というものが、全くと言っていいほどなされていません。

その時点で検診でひっかからなかったからといって、現在の習慣を続けていけば病気やがん発症にはならないという保証は全くありません。

その後で、検診で何か見つかったときは、すでに遅く、そこから回復しようとしても、なかなか難しいのです。

 

予防医学とは検診で早期発見することだと国民の多くが誤解をしています。

早期発見・早期治療は限界があり、また先進医療にも限界があります。

がん大国となった以上、大切なことは私たち一人一人が体の仕組みや栄養の基礎知識を学び、自分の体質や特徴を見極め、できるだけ自然に根差した生活や先人が築いてくれた伝統的生活を見直す、そして実践していく、こうした「予防」こそが今私たちに求められている課題なのです。

その中で楽しさも見つけていけば、決して難しいことではないと思います。

 

検診すべてを否定するつもりは毛頭ありませんが、検診よりまずは予防が大切なのです。

 








          たきがみ博士の想い

 

誰でも、自分の中に伝統がある。自分が経験したすべての過去の累積、それが”いま”のわたし。

過去とは思いだすこと、現在(いま)は過去の必然、そして、未来は想い、選択すること。

いまは、変えられない。

しかし、人には明日があり、未来がある。明日は、こうありたいと想いを持つことができる。

 

すてきな明日に向かって、”これからへの想い”を具体化するJourney、しっかり楽しみたいと思います。

そして、”いま、ここ”を丁寧に活きる。

みずからの人生の軌跡を、すてきな笑顔でみつめるために。

 

旬(ときめき)亭 亭主 たきがみ博士
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