現代における私たちの暮らしは、とても手軽で便利ではあるけれど、必要な物の素材がどこでどんな風に育って、どんなひとが、どうやって作っているかというのは、なかなか見えない。
もし自分の足で探した素材を自分の手で作ったとしたら、私たちは自分を取り巻く環境にもっと興味を示すだろうし、来年も再来年も収穫できるような環境を作ろうと思うだろう。
お金を使うことで隠れてしまった私たちと自然の繋がりが、お金を使わないことによって蘇る。そして買った物とは違った味わいと愛着が生まれ、決して簡単に捨てたりはできない。
“世界中に何百万種類もいる生き物の中で、人間だけが食べるのにお金が必要だと思っている。
りんごの木にお金を払わなくても、りんごの木はりんごを食べたい人にりんごを与えてくれるよ“
“ほとんどの人はお金を払わなきゃできないことがたくさんあるって信じている。
そして僕に聞くのさ、
「もしお金を使わないのなら、どうやって家を建てるんだ?
どうやってテーブルや椅子を作るんだ?どうやって洋服を縫うんだ?」
そういう時は僕はこう答えるよ、“鳥が巣を作るのと同じようにするんだよ”
無償で分け与えたり、助けたり、教えたりすることはペイ・フォワード(未来への贈与)だと言う。
一見無償に見えるものの、その行為を通して人との繋がりができる。
その繋がりがいつか自分を助けるというのである。お金を使わないことで人と人との繋がりまでも再生できる。